・・・世界の顔』で、国際的信望を失いつつある鳩山一郎氏が、自由党という第一党の首領であり得ることも、おどろかれるし、現職のまま幣原首相が進歩党の総裁となって入党したことも、民主とはかかることにさえつけられる名称かと、日本の民主主義の異常さに、目を・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・印刷一折を標準として、 一九二七年 一、七五七、〇〇〇、〇〇〇 一九二八年 二、一五八、〇〇〇、〇〇〇 一九二九年 二、六六一、〇〇〇、〇〇〇世界で、どこが一番多くいろんな名称の本を出しているか デンマーク ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェト同盟の文化的飛躍」
・・・そして、自分達も、文学研究会では、やたらに文学団体の各名称について通をふりまわし、作詩と称して実際生活から遊離した言葉をこねくりまわして、並べたり、千切ったりするようになった。 当時は、技術的に一応出来上っていた同伴者作家が、全露作家協・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 事務所は依然八重洲ビルにあり。名称も元のままですが、主体は曾禰氏が主です。ところがこの老博士は今年八十四五歳であり、君子であり品格をもった国宝的建築家でありますが、現実の社会事情からは些か霞の奥に在る。ために国男はじめ所員一同具体的な・・・ 宮本百合子 「獄中への手紙」
・・・現実のそれぞれの局面に付せられている名称や説明は、それとして現実の実際の解明と等しいものではないことが生活感情としては何となし直感されている。だがその現実の二重焼つけのような映像に対して、どんな態度かと云えば極めて心理的な麻痺の状態におかれ・・・ 宮本百合子 「今日の読者の性格」
・・・ 其故私は、国民的名称の差異に意識無意識に左右された批評は好みません。私は米国人とその名を以て、その約束的符牒で彼等を呼ばなければなりませんけれども、其に対する心持は、地上の人類の一群に起った現象として無我に面して行きたいと存じます。人・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・れわれの合理性の声として、人間性を内容づける階級性も、当然思惟の領域に入っているのであるが、それを性急に従来の定形に準じて方向づけてしまっても、観念上の満足にとどまって、現代ヒューマニズムという広汎な名称をもった思想の要求は、それの発生する・・・ 宮本百合子 「十月の文芸時評」
・・・ 間宮茂輔、中本たか子等の作品が生産文学という名称を持ったことも、究極に於てはこの農民文学がそうであった通り文学からの生ける人間の退場が根本の理由をなしている。かつて横光利一が第四人称の私を発明した時既に生産文学に於ける人間と物との置き・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・林房雄、中河与一氏などが音頭とりで、名称も懇話会よりは一層鮮明に、一傾向を宣言したものである。日に日に新たなる日本であるから、新日本主義も響きとして生新なようでもあるが、日本文学を新たな角度から把握しようとするその態度・方向においては、その・・・ 宮本百合子 「近頃の話題」
・・・どんな一寸した風変りな河原の石にも、箒川に注ぐ瀧にも、すべてに名所らしい名称があって、そこには一々立札が立っているというのは、何と五月蠅いことであろう。塩原温泉組合は、遊山人のために何一つ発見すべきものを残して置かない。山歩きをしているうち・・・ 宮本百合子 「夏遠き山」
出典:青空文庫