・・・ 人倫の大本は夫婦なり。夫婦ありて後に、親子あり、兄弟姉妹あり。天の人を生ずるや、開闢の始、一男一女なるべし。数千万年の久しきを経るもその割合は同じからざるをえず。また男といい女といい、ひとしく天地間の一人にて軽重の別あるべき理なし。・・・ 福沢諭吉 「中津留別の書」
・・・されば公徳の根本は一家の私徳にありて、その私徳の元素は夫婦の間に胚胎すること明々白々、我輩の敢えて保証する所のものなれば、男女両性の関係は立国の大本、禍福の起源として更に争うべからず。今日吾々日本国民の形体は、伊奘諾・伊奘冊二尊の遺体にして・・・ 福沢諭吉 「日本男子論」
・・・ 故に人間社会の事物今日の風にてあらん限りは、外面の体裁に文野の変遷こそあるべけれ、百千年の後に至るまでも一片の瘠我慢は立国の大本としてこれを重んじ、いよいよますますこれを培養してその原素の発達を助くること緊要なるべし。すなわち国家風教・・・ 福沢諭吉 「瘠我慢の説」
・・・青鞜社の全体の方から申しますと、はっきりした社会的基礎をその人達が持っておりませんでしたから、雷鳥さんは年をとってしまって大本教の信者になった。社会の中にはっきり自分を密着させていなかったからです。 今から十何年か前に、世界と一緒に日本・・・ 宮本百合子 「婦人の創造力」
・・・ 母が読書好きであった関係から、家の古びた大本箱に茶色表紙の国民文庫が何冊もあって、私は一方で少女世界の当選作文を熱心に読みながら、ろくに訳も分らず竹取物語、平家物語、方丈記、近松、西鶴の作品、雨月物語などを盛によんだ。与謝野晶子さんの・・・ 宮本百合子 「行方不明の処女作」
・・・よしんばのってくれたにしろ、キットあなたの御良人の兄さんの大本教信者のように「母は子供のギセイになれ」とか「家庭のことだけしていればよい」とか答えるのが落でしょう。 われわれは違います。こういう問題は、あなた一人だけのことではなく、いろ・・・ 宮本百合子 「「我らの誌上相談」」
出典:青空文庫