・・・一九二六年の統計でもう古いがソヴェト同盟で四年制小学校における女児就学率を表で示すと同じソヴェト同盟内でもブルジョア・ロシア時代の被圧迫少数民族のところでは、共学率が低い。国語別 第一年 第四年・・・ 宮本百合子 「砂遊場からの同志」
・・・四つの女児は森の中で凍死んで居た。 二十四日 細いゴムの管がある。管は二米ばかりの長さだ。先に小さい楕円形 紅茶こしのような金のたまがついて居る。それをたまの方から嚥み下さなければならない。十二指腸から胆汁をとる療法だがこのゾン・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・ からりとした男児運動場のところへ、ベビー・オルガンをもち出して、六年女児は体操の時間にカドリールとコチロンを習った。タータタタと空に響くオルガンのメロディーにつれて、えび茶や紫紺の袴をつけた六十人ほどの少女が、向い会って、いっせいにヨ・・・ 宮本百合子 「藤棚」
・・・日本の教育は男児と女児とを、小学校のころから区別している。女は家庭で良人の補佐ができればよいという明治時代の女子教育は進歩していないのだ。 資本主義の国として、しかもつよく封建性ののこっている日本文化は、支配者自身でさえ今では不便がるほ・・・ 宮本百合子 「プロレタリア婦人作家と文化活動の問題」
・・・白居易の亡くなった宣宗の大中元年に、玄機はまだ五歳の女児であったが、ひどく怜悧で、白居易は勿論、それと名を斉ゅうしていた元微之の詩をも、多く暗記して、その数は古今体を通じて数十篇に及んでいた。十三歳の時玄機は始て七言絶句を作った。それから十・・・ 森鴎外 「魚玄機」
・・・たとえば、蓮華草この辺にもとさがし来て犀川岸の下田に降りつげんげん田もとめて行けば幾筋も引く水ありて流に映るおほどかに日のてりかげるげんげん田花をつむにもあらず女児らさきだつは姉か蓮華の田に降りてか行きかく行く十歳下三人・・・ 和辻哲郎 「歌集『涌井』を読む」
出典:青空文庫