・・・ 資本主義制度が存続している限り、××が絶滅される時期はやって来ない。ひとたび××××戦争によって、世界が分割され、平和な時期がやって来ても、又、次の××××戦争がやって来る。欧洲大戦が終結して平和がやってきた。しかし、それから十年も経・・・ 黒島伝治 「反戦文学論」
・・・しかし、その軍事的性質は、国民的解放の意義が失われ過ぎ去った後までも存続し、日清、日露の戦争に勝利を博すると共に、ます/\支配的地位をかため、発展した。 明治年間、殊に、日清戦争から、日露戦争前後にかけての期間は、最も軍国主義的精神が、・・・ 黒島伝治 「明治の戦争文学」
・・・この人影のない冷い椅子は、永遠に、君の椅子として、空席のままに存続する。神も、また、この空席をふさいで呉れることができないのである。ああ、私の愛情は、私の盲目的な虫けらの愛情は、なんということだ、そっくり我執の形である。 路を歩けば・・・ 太宰治 「思案の敗北」
・・・そうしてまた、これから、この地球に人類の存在するかぎり、いや、動物の存続する限り、お前たちは、永久に強いんだ。あなたは、はずかしくないのですか?(呻ううむ、ちえっ、ちくしょう! 全人類を代表してお前に言う。お前は、悪魔だ!なぜで・・・ 太宰治 「春の枯葉」
・・・ 今に戦争になるかもしれないというかなりに大きな確率を眼前に認めて、国々が一生懸命に負けない用意をして、そうしてなるべくなら戦争にならないで世界の平和を存続したいという念願を忘れずにいれば、存外永遠の平和が保たれるかもしれないと思われる・・・ 寺田寅彦 「変った話」
・・・このような記憶あるいは本能が人間種族からすっかり消え去らない限り、強者と弱者の関係はあらゆる学説などとは無関係に存続するだろう。 子供らはまたよくかやつり草を芝の中から捜し出した。三角な茎をさいて方形の枠形を作るというむつかしい幾何学の・・・ 寺田寅彦 「芝刈り」
・・・しかしまた、そうした奇形児がいくらできてもその当時の環境に適合しなければその変形は存続することができなくて死滅したであろうと考えられる。 短歌から連歌への変遷もやはり一種の進化と見られる。たとえば一個のポリプを二つにちぎって、それぞれに・・・ 寺田寅彦 「俳句の型式とその進化」
・・・そうして、この根本原因の存続する限りは、将来いつなんどきでも適当な必要条件が具足しさえすれば、東京でもどこでも今回の函館以上の大火を生ずることは決して不可能ではないのである。そういう場合、いかに常時の小火災に対する消防設備が完成していてもな・・・ 寺田寅彦 「函館の大火について」
・・・かくして人心に向上の念がある以上、永久にローマン主義の存続を認むると共に、総ての真に価値を発見する自然主義もまた充分なる生命を存して、この二者の調和が今後の重なる傾向となるべきものと思うのであります。 近頃教育者には文学はいらぬというも・・・ 夏目漱石 「教育と文芸」
・・・また現在の自己の内に次の瞬間への自己の存続の原因は求められない。そこに創造的なるものが働かねばならない。かかる原因として我々は神の存在を認めねばならないという。しかし斯く考える時、自己はそれ自身によってある実在ではない。それ自身によってある・・・ 西田幾多郎 「デカルト哲学について」
出典:青空文庫