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・・・彼がおならをするのと、田舎出の小者のおならをするのとは、全然意味がちがうらしいのである。「人による」と彼は、言っている。頭の悪く、感受性の鈍く、ただ、おれが、おれが、で明け暮れして、そうして一番になりたいだけで、どだい、目的のためには手段を・・・
太宰治
「如是我聞」
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・・・こうしてこの家中は、家老より小者に至るまで、意地ぎたない、人を抜こうとするような気風になってしまう。 第三は、臆病なる大将である。「心愚痴にして女に似たる故、人を猜み、富める者を好み、諂へるを愛し、物ごと無穿鑿に、分別なく、無慈悲にして・・・
和辻哲郎
「埋もれた日本」