尾に尾を付ける
物事を大げさにいう。尾ひれをつける。尾に尾を添える。「天神の不可思議霊怪談は伝え又伝えて枝に枝を生じ—・け」〈福沢・福翁百話〉
尾に付く
他人の言動につき従うようにふるまう。また、他人のことばからきっかけをつかんで述べる。「伯爵夫人のわが軍服褒めたまう言葉の—・きて、『…ブラウンシュワイヒの士官に似たり』と一人いえば」〈鴎外・文づかひ〉 「其んな者儂 (わたし) は知りませんとすねる—・いて何の知らぬ事があるものぞ」〈緑雨・売花翁〉
尾を泥中に曳く
《楚王に仕官を求められた荘子が「亀は、殺されて占いの用に立てられて大切にされるよりは、泥の中に尾をひきずってでも生きているほうを望むだろう」と言って断わったという「荘子」秋水の故事から》仕官して自由を束縛されるよりも、貧しくとも郷里で気楽に暮らすほうが良いということのたとえ。尾を塗中 (とちゅう) に曳く。曳尾 (えいび) 。
尾を引く
物事がすんだあとまでも、名残が続く。のちのちまで影響する。「一年前の事件が、今でも—・いている」
尾を振る
《犬が飼い主にこびて尾を振る意から》目上の者のご機嫌をとる。へつらう。
尾を見せる
《化けた狐 (きつね) が尾を出して正体を現す意から》今まで隠していた実態が現れる。やりくりに破綻 (はたん) をきたす。尾を出す。「今までは化けたる—・せて、ここも道ふさがり」〈浮・諸艶大鑑・五〉