・・・いわゆる人民が上官から憲兵から特高からその肉体の上にくらったビンタとちがったビンタが、文学者のために用意されていたでしょうか。どんなちがった監獄に作家が入れられたというのでしょう。 谷川徹三の「文化平衡論」という主張が戦争拡大する前後の・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・あれこれと形をかえて、民間にはいりこんでいるもとの職業軍人や憲兵、ファシストのある種の人々は、ぐるりの青年たちにそういう教育をしみこませている。世界の様子もしらず、軍事教育で育てられて来た青年は汽車の中でそういう話もあり得ることのように喋っ・・・ 宮本百合子 「便乗の図絵」
・・・治安維持法が改悪されて日本の民主的なすべての理性、合理的な平和を愛するすべての人の心を踏みにじってしまったのは治安維持法の仕事でその実行者である検事局、憲兵のために働いた安倍源基を筆頭とするその部下です。ですから安倍源基の出世物語というもの・・・ 宮本百合子 「平和運動と文学者」
・・・そこの住人であった一人の廃兵と労働者とが憲兵に引っぱって行かれた。プレットニョフはこのことを知ると、興奮してゴーリキイに叫んだ。「おい! マクシム! 畜生! 走ってけ、兄弟、早く!」 ゴーリキイは、合図の言葉を知らされて「燕のように・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの伝記」
・・・そこの住人であった一人の廃兵と労働者とが憲兵に引っぱられた。プレットニョフはこのことを知ると、興奮してゴーリキイに叫んだ。「おい! マキシム、畜生! 走ってけ、兄弟、早く!」 ゴーリキイは、合図の言葉を知らされて、「燕のように迅く」・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの発展の特質」
・・・ 一八九八年、ゴーリキイは憲兵に家宅捜査をされた後検束されチフリスへ送られた。検挙は九年前にうけたのと二度目である。革命運動をしたというのであったが、証拠がなくて許された。 一九〇一年、ゴーリキイは初めてペテルブルグに現れた。今は誰・・・ 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイの人及び芸術」
・・・ ベルリンの鋪道の上で憲兵大尉にうちころされ死体をすてられたカールとローザの墓は、ドイツの独立と自由とを愛す人々の手によってきずかれた。その墓はひとたびはヒトラーによって破壊された。けれども彼らの墓が形の上でどうなろうとも、ドイツの人民・・・ 宮本百合子 「三つの愛のしるし」
・・・ 各種の軍事施設は、おそらく優秀なラジオをもっていたろうと思われる。憲兵隊のようなところも、同様であったに違いない。そこにあったラジオの設備を、せめて運輸事務の改善のために活用することは出来ないものなのだろうか。そして、食糧の輸送に一つ・・・ 宮本百合子 「みのりを豊かに」
・・・○きのうは鍛冶屋の仕事仕度○黒ぶちの眼鏡にジャンパーを着たが「世界稀な憲兵政治」をもって国民にのぞんだと云っている記事を、おどろきをもってよみかえした。 何と万事は変ったろう。しかし、と○は考えた。その急激な変化に対応し・・・ 宮本百合子 「無題(十二)」
・・・と叫んで街頭に溢れ出し、幾千人という婦人が憲兵と勇ましく闘って、遂に世界の歴史を新しくした革命の第一の口火を切った。その頃は第一次帝国主義世界戦争で皇帝資本家地主は自身の利益のため、労働者農民を何十万人と西部戦線で殺していた。国内では工場が・・・ 宮本百合子 「ロシア革命は婦人を解放した」
出典:青空文庫