・・・日本の港からあがって来た資本主義の独占的な本質にくっついて動くに必要な程度にまでいち早く自身の独占資本性を推進させた。この過程に、日本につよくのこっている封建性が十分利用されている。政治は政治家がやるものだというふるい考えかた、文化人は直接・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・民衆の歴史の刻々の推進と、その前衛としてのわれらの党がおうている任務は、きわめて洋々たる前途をもっている。たっぷりした実践力のあることと、理論的発展の可能をもつこと、この二つは、欠くことのできない新しい活動家の資質である。 立候補に決定・・・ 宮本百合子 「大町米子さんのこと」
・・・そこではどっさりの大船小舟が船底をくさらせたり推進機に藻を生やしたりしているのはわかっていても、自分の小さい出来たもとの櫓や羅針盤にたよりきれないような思いがする。 ここに二人のひとがあって、一方は、所謂間違いのないという範囲で信用のあ・・・ 宮本百合子 「女の歴史」
・・・ ウォーレスの新党が進歩党と名づけられ、むだなかけひきは一切ぬきに世界平和と民主主義推進の綱領を正面にかかげて立候補したとき、あいまいに立ちこめた雲がさけて、ひとすじのつよい明るい光が射出した感じを受けたのは、わたしたちだけではなかった・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・私たちの世紀は、資本主義的な民主主義、社会主義的な民主主義、そして、おくれながらもつよく翼を羽ばたいて歴史の二行程を同時に推進する必然におかれている中国や日本などの新民主主義と、この三つの民主主義の進行が世紀の実質をなしているのであるから。・・・ 宮本百合子 「現代の主題」
・・・を描けということは、ソヴェト同盟の社会的現実に即したプロレタリア文学の当然な推進なのだ。「ラップ」は一九三〇年の春、益々豊富に大衆の中に芽生えて来る文学的萌芽の肥料として、初歩的な文学雑誌『成長』を刊行しはじめた。一九三一年には、文学サ・・・ 宮本百合子 「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
・・・ 一九三三年以後日本のファシズムと侵略戦争の推進に対して、不幸な日本人民とその芸術家であるべき作家はあまり無力でした。反ファシズム人民戦線運動がおこったときも、日本の文化人はその重要さを理解しないで、ファシズムと戦争反対との人民的階級の・・・ 宮本百合子 「心から送る拍手」
・・・しかもそれについて語りかたは、歴史の現実とともに急激に推進されて、わたしたちは、創作方法についてメリー・キューリー夫人が放射能を求めて、黒くて臭い鉱物を煮つめていた時代のように語ってばかりいることは許されない。こんにちジョリオ・キューリーが・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・例えば、島崎藤村、徳田秋声等は、日本の資本主義が勃興の途についたロマンチシズムの時代から、自然主義の時代、白樺等によって唱えられた人道主義の時代、更に社会の推進につれて生じた新たな階級の文学運動の開始等、明治から昭和に至る日本文化の縦走をそ・・・ 宮本百合子 「今日の文学の鳥瞰図」
・・・に就ても、上述のような紹介の角度によって、さながら新たなヒューマニズムの内容は、非人間的暴力に反対するという一般傾向において平面的に無差別につらなっているので、その推進力としての指導方向を不用としているかのようにうけとられた。従来のプロレタ・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
出典:青空文庫