・・・では、モーロアの本質がつまりダラディエやレイノーとそう大して違ったものでもないこと、それだからこそ現象の説明は皮相な政界内幕の域を脱し得ていないこと、従って、当時のレイノーにその社会的な矛盾紛糾を解く方策が見出せなかった瞬間にはモーロアも一・・・ 宮本百合子 「今日の作家と読者」
・・・吉田首相が記者会見のとき、連合国の日本民主化方策について、はじめは危惧の念を抱かないでもなかったが、この頃は我々にも十分納得ゆくようになって欣びにたえない、と語ったことは現実的な深い内容を暗示した。ポツダム宣言、世界憲章の人類的な道義の道は・・・ 宮本百合子 「三年たった今日」
・・・互いの関係から云えば、主婦たちが迅速に計画的にそういう方策を立てて行動してゆく実際の力によって商人の従来の商人気質も脱皮されて行く訳だろう。 家庭購買組合も見たところ大きい規範で経営されてはいるけれど、各戸を実際にまわっている実務員が報・・・ 宮本百合子 「主婦意識の転換」
・・・その青春を蝕ばまれるのをふせぎ又指導するために、厚生省が産業報国の機関を動員して、優良会員数名ずつを行動隊に組織し、工場地帯、玉の井、亀戸その他の盛り場へ送り、危い一歩の手前で若者たちを目覚ましてやる方策が決定した。結構なことだと思う。・・・ 宮本百合子 「女性週評」
・・・一見、愚劣と思われ、誰しも反対すると思われる方策を、政府が強権によって発動させる、という、その技術上の意味を、わたしたち人民は見抜く必要があるのではなかろうか。 宮城のみならず、おそらく、日本じゅうのあらゆる農村で、強制供出案は、うけい・・・ 宮本百合子 「人民戦線への一歩」
・・・布の中の円が百分の一の価値になってきたという事実につながって、A氏B夫人の個的経験がいかに複雑微妙に個的であろうとも、このような異常な金の価値変化を正常になおすためには、個的経験の主張の範囲ではなんの方策も立て得ない。社会・文化の諸現象につ・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・大衆の文化を圧する方策が、大衆の現実という名において大衆の頭上にふりかかって来ている。従って、大衆にわかる小説を書かなければならないという一見自明な『文学界』などの提案も、嘗てプロレタリア文学運動が、文学の大衆性と通俗性との相違を明らかにし・・・ 宮本百合子 「全体主義への吟味」
・・・一人一人、一つの団体はその団体としてだけ、なんとかこの苦しさを打開する方策をたてようとして来たと見られます。 しかし、もうその時期はすぎました。過去二年あまりの経験は、私たち日本のすべての婦人を、少しは賢こくして来ました。実際的にめざめ・・・ 宮本百合子 「婦人大会にお集りの皆様へ」
・・・ないうちに、この戦争とファシズム独裁に対する人民の嫌悪感を逆に利用して、真の戦争反対者、民族の自主生活を希望するものの上にその名を冠らせ、人民の中から真面目に戦争挑発に反対する要素をとりのぞこうとする方策は、ファシストとして愚策とは考えられ・・・ 宮本百合子 「平和への荷役」
・・・ 官邸に入った代表は、首相に面会して、今日の日本の生活が、これほど行づまり、危機にせまっているのに、具体的な方策は一つも建てないで、政権の奪い合いをしている不誠意について詰問したのであった。 総選挙、その後の政府のやりかた、メーデー・・・ 宮本百合子 「メーデーに歌う」
出典:青空文庫