・・・国民所得を戦前の百倍として、税は百二十六倍払わなければならず、経済安定本部の数字によれば、それでも去年十一月には、国民の家計は黒字になるはずだったそうです。黒字どころか、おしつまる年の瀬とともに、金のあるふところ、金のないふところの差別はま・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
・・・ロサンジェルスの本部を買うために五十万ドル投げ出したし、ミシガン州のマキナック島には、訓練所を維持している。MRA映画「グッド・ロード」を製作する費用も少くないであろう。世界にこんなに資金豊富な団体がほかにあるだろうか。これだけの経費をまか・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・が描いた代々木本部創立当時のおもかげは、何のよびかけももたないだろうか。「二つの庭」がよまれたのは、まだ日本の社会、とくに婦人の生活から封建性がとりのぞかれていないで、その重荷とたたかう重感が、作者と読者とを貫いて生きているからである。こん・・・ 宮本百合子 「事実にたって」
・・・赤色労働組合の総本部労働宮は、どうだ! まるで闇に浮き立つ光の宮だ! クレムリンの時計台にとりつけられたラジオ拡声器は絶えずピアノ行進曲を広場中に撒きちらし、「帝国主義とファシズムの犠牲者に 階級の兄弟プロレタリアートからの 挨・・・ 宮本百合子 「勝利したプロレタリアのメーデー」
・・・軽い朝日を受けてこっち、ハルトゥリナ通りの方から一人、黒い書類入鞄を下げた女が急ぎ足で旧参謀本部、今のレーニングラード・ソヴェト行政部わきのアーチへ向って歩いて行く。そっち、十月二十五日通りから入って来て、斜に広場をネ河の岸へ横切って行く者・・・ 宮本百合子 「スモーリヌイに翻る赤旗」
・・・しかし実際問題として、レーニングラードの作家同盟、もしくはモスクワの本部が、それらの具体的な現象ならびに、文学の一部におけるよくない傾向の発生について適切な注意をくばる実力をもっていたのなら、そもそも『星』のような場合は起らなかったかもしれ・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・ 七月三日の各新聞には、集団的な行動になれて帰ったものたちが、自分たちの立てて来たプログラムにしたがって党本部へ行動したり、民主主義擁護同盟の大会に出席したりするなかから肉親の甥一人を仲間はずれにして列の中からひっぱりだしている女二人の・・・ 宮本百合子 「肉親」
・・・代々木に党本部の事務所がもたれた。私も入党した。十二月、この本部の二階広間の畳の上で、合法的第一回、実質的には第四回大会がもたれた。五百余名の人々が集った。この大会は二年後の一九四〔七〕年第六回大会がもたれたとき、凡そ十万近い党員を代表・・・ 宮本百合子 「年譜」
・・・この事件で検事局が警視庁の捜査本部へ殺人の方向で進めてくれと特に注文をつけ、捜査本部はかならずしも同調しなかったことは世人の記憶にあたらしい事実である。『読売新聞』は一貫して犯罪性を強調し、この裏に共産党ありと、あすにも犯人があがりそう・・・ 宮本百合子 「犯人」
・・・それを思うと、麦積山が、タリム盆地の文化圏に非常に近かったとも言えないのであるが、しかしタリム盆地で発達した芸術や宗教がシナの本部の方へ入り込んで来る際に、敦煌から蘭州を経て長安や洛陽の古い文化圏に来たことは確かであろうし、蘭州と長安との中・・・ 和辻哲郎 「麦積山塑像の示唆するもの」
出典:青空文庫