・・・ポツダム宣言を受諾して武装放棄をした日本は、どういう口実でも日本としてまた武装を行う理由はもっていないはずである。わたしたち日本の婦人の大部分は戦争を欲していないのだ。分別のある人民の大部分が、この上の惨禍を歓迎しようとはしていない。 ・・・ 宮本百合子 「偽りのない文化を」
・・・ 新聞にいうように、十万とか十五万の武装警官を作るということ、あれは日本の軍隊の再編成です。それから新聞で御覧のとおり、非常に今の警官はピストルが上手で殺すことがうまく、昔の警官はサーベルをがちゃがちゃさせて躓いてびっくりしていたが、い・・・ 宮本百合子 「浦和充子の事件に関して」
・・・学者、作家、その他の人々は、「どうせ政府が宣伝しているように手ッとり早いことはできないのだから、日本の幸福のために、世界に日本の良心を示すために、平和がたしかに守れる条件をそなえた全面講和と絶対的な武装放棄を主張すべきである」と答えていまし・・・ 宮本百合子 「講和問題について」
・・・ などとスローガンが並べられ、人民を武装蜂起に挑発している。 スローガンだけあるが、生産を国家管理にするといっても、それはどういう国家がどう生産を管理するのであるのか、階級なき新日本と云っても、犬養を殺し、軍部が暴威を振って階級が無くな・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・その他日本的な種々雑多な因子としている上に、将来日本が憲法をかえてさえ再武装するかもしれないという信じがたいほどの民族的苦痛の要因に重くされている。 わたしが生活と文学とにコンプレックスを全然持たないか、或は極く少くしかもたない女だとい・・・ 宮本百合子 「心に疼く欲求がある」
・・・ところがこのあいだ、スイスのコーでひらかれた道徳再武装の第二回大会へは、選挙に惨敗して暇ができたか社会党の片山哲、菊江夫人その他一行七人が、旅費の苦労もなさそうに飛行機で出かけて行った。三井高雄氏のような東洋屈指の大財閥の一族ならば、妻をつ・・・ 宮本百合子 「再武装するのはなにか」
・・・プロレタリア文学運動における同伴者的作家というものを、先に述べた規準によって正当に理解しないならば、この戦争と革命とへの時期において、日本のプロレタリア文学運動を、敵の前に武装解除させるところの、明らかな右翼的逸脱への危険を示すものとなるで・・・ 宮本百合子 「前進のために」
・・・「日本の心ある知識階級は、日本の永世中立をのぞんでいる。武装せざる国家、永久平和の国家となることをのぞんでいる。」「しかし葦沢悠平は空想家ではなかった。戦いに敗れ、戦争がいやになったからと言って、それで永世中立ができるものなら、何の苦労もい・・・ 宮本百合子 「戦争はわたしたちからすべてを奪う」
・・・当時のドイツにみちていた男女のあらゆる種類の不満と悲しみを、武装解除させられたドイツの軍人たちの傷けられた名誉心と結合させ、ドイツ民族の名誉恢復、復讐の期待というものを、不幸なドイツの人々の心にしみこませて行ったのが、第一次大戦のときに生れ・・・ 宮本百合子 「それらの国々でも」
・・・ プロレタリア文化・文学運動とその活動家全員がすき間なくレーニン的党派性をもって貫かれ武装されることは、活動を狭くするどころか、今日のように「近い将来において革命的危機に立つかも知れぬ」日本の情勢の下にあって、運動をますます強め、ますま・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
出典:青空文庫