・・・福地桜痴、末松謙澄などという人も創業時代の開拓者であるが、これらは鍬を入れてホジクリ返しただけで、真に力作して人跡未踏の処女地を立派な沃野長田たらしめたのは坪内君である。 有体にいうと、坪内君の最初の作『書生気質』は傑作でも何でもない。・・・ 内田魯庵 「明治の文学の開拓者」
・・・これを化して良田沃野となして、外に失いしところのものを内にありて償わんとするのがそれがダルガスの夢であったのであります。しかしてこの夢を実現するにあたってダルガスの執るべき武器はただ二つでありました。その第一は水でありました。その第二は樹で・・・ 内村鑑三 「デンマルク国の話」
・・・丙は時として荊棘の小道のかなたに広大な沃野を発見する見込みがあるが、そのかわり不幸にして底なしの泥沼に足を踏み込んだり、思わぬ陥穽にはまって憂き目を見ることもある。三種の型のどれがいけないと言うわけではない。それぞれの型の学者が、それぞれの・・・ 寺田寅彦 「自由画稿」
出典:青空文庫