・・・ まさか、こんなばかげた問答は起るまいが、けれどもこの場合の柿にしろ、窓にしろ、これこれだからこうだ、という、いわば二段論法的な、こじつけではないわけだ。皮肉や諷刺じゃないわけだ。そんないやらしい隠れた意味など、寸毫もないわけだ。柿は、・・・ 太宰治 「多頭蛇哲学」
・・・一つの行為に対する法的処罰が、道義上の判断と評価とに一致しなければ一致しないほど、刑罰の非人道性が露出されるばかりである。罰せられたる幾人をもたらしたのは、治安維持法であったことを人々が忘れることは無いのである。〔一九四六年三月〕・・・ 宮本百合子 「石を投ぐるもの」
・・・ 治安維持法的コンプレックスは退治してしまわなければだめです。実はそのコンプレックスで感情を刺戟されるのに、そのことにはふれず、何か外部からの強権を反撥しでもするようなすねかたをすることは、止めるべきだと思います。 民主主義文学の最・・・ 宮本百合子 「討論に即しての感想」
・・・社会の実際の日々に、すべての職場に、男女の働いて生きる人の必要を、社会的に、また法的に保証する方法が具体化されたとき、はじめて民主的というに値する。そういう社会をつくるために、男女が力を合わせて、あらゆる努力をし、あらゆる形でたたかってゆく・・・ 宮本百合子 「離婚について」
・・・自然法的婚姻及び離婚論。日本結婚風俗史。一夫一婦論。妾。婦人と政治。婦人の国際的保護。妻の所得の保護。ソヴェトの婚姻法。フランスにおける内縁問題。結婚優生学。これらの各項をそれぞれの専門家が執筆している。第二巻法律篇は、婚姻法概論からはじま・・・ 宮本百合子 「若い婦人のための書棚」
出典:青空文庫