・・・もっともこの可能性が非常に多様であれば、その中の二三を指摘してみても、それは結局なんらの価値もない漫談となってしまうであろうが、多くの場合に必ずしもそうとは限らない。ことにある一種の怪異に関する記録が豊富にあればあるほど、この可能性の範囲は・・・ 寺田寅彦 「怪異考」
・・・かつて保護観察所長をしていた思想検事の長谷川劉が、現在最高裁判所のメムバーであって、さきごろ、柔道家であり、漫談家、作家である石黒敬七、富田常雄などと会談して、ペン・ワン・クラブというものをつくることを提案している。名目は、腕力のあるペン・・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十一巻)」
・・・ 先ごろ何かのグラフィックに大学教授の老先輩が男女学生を集めて面白可笑しく学生アルバイト漫談をしている記事がのっていた。そのなかで、男妾のようなことをやっているものがあったそうだとか、闇の女をやっているものがあるというがとか、愉快な笑話・・・ 宮本百合子 「生きつつある自意識」
・・・等が晦渋に呈出されつつある一方で、万歳と漫談、とりとめなくエロティックな流行歌とが異常な流行を見た時であった。文学における「嗚呼いやなことだ」と一味通じて更にそれを、封建時代の日本ユーモア文学の特徴である我から我頭を叩いて人々の笑いものとす・・・ 宮本百合子 「今日の文学の展望」
・・・この講演にもその特色があらわれていて、構成のない漫談風に話がすすめられているが、テーマは、今日にも及ぶ重大な意味をもっている。漱石は、学習院という特別な学校の性質をはっきり認識し話している。自分では、その特殊性をあまり意識しないで育てられて・・・ 宮本百合子 「日本の青春」
出典:青空文庫