-
・・・――主人が沼津の町へ私用がある。――そこで同車で乗出した。 大仁の町を過ぎて、三福、田京、守木、宗光寺畷、南条――といえば北条の話が出た。……四日町を抜けて、それから小四郎の江間、長塚を横ぎって、口野、すなわち海岸へ出るのが順路であった・・・
泉鏡花
「半島一奇抄」
-
・・・社会主義文化建設のための専門技術家である学者達が、会議、見学、ごくたまに私用でその市へやって来る。外国から来る者もある。ホテルに室がなかったり費用がかかりすぎる場合、静かに簡単な何日かの滞在をするため、事情によっては無料でその「学者の家」を・・・
宮本百合子
「スモーリヌイに翻る赤旗」