・・・ 小説として「蟹工船」「太陽のない街」「三・一五」「鉄の話」「キャラメル工場から」「施療室にて」などが生れ、プロレタリア文学の理論は、当時国際的な革命的文学運動の課題となっていた唯物弁証法的創作方法の問題、世界観の問題、前衛の文学の問題・・・ 宮本百合子 「作家の経験」
・・・ 未熟であり、よしやある誤りを含んでいたとしても、新しい社会生活の感情がそのような芸術理論をも生んだのであって、小林多喜二の「蟹工船」「不在地主」徳永直の「太陽のない街」村山知義の「暴力団記」「東洋車輌工場」その他多くの新しい文学作品が・・・ 宮本百合子 「昭和の十四年間」
・・・ 続いて、有名な「蟹工船」が書かれ、「不在地主」「工場細胞」「オルグ」「独房」「転形期の人々」「沼尻村」と精力的に作品が送り出されたが、我々が特別注目し又感歎するのは、同志小林多喜二が一つの作品から一つの作品へと常に前進しつづけたプ・・・ 宮本百合子 「同志小林多喜二の業績」
・・・ブルジョア文学批評家の間には、同志小林の「蟹工船」を作家的発展の頂上とすることがはやっているが、「地区の人々」は当時まだつよくのこっていたブルジョア・リアリズムの煩瑣な影響から脱し、統一されたボルシェヴィキ的世界観によって輝き出す独特の簡明・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価によせて」
・・・ 以来、「蟹工船」「不在地主」「工場細胞」「オルグ」「沼尻村」その他最近の「党生活者」「地区の人々」に至るまで精力的に発表された諸作品は、どれをとっても、それぞれの時期におけるプロレタリアートの課題を自身の課題として反映したものであり、・・・ 宮本百合子 「同志小林の業績の評価に寄せて」
・・・そうして恐ろしい戦争の時代を通過して、小林多喜二が生きて闘ったものはどれほど残酷なものであり、どういう意味において小林がそれと闘われたものであるか、「蟹工船」なんかのようにどういう風にして労働する人の生活が武力によって監視されているかという・・・ 宮本百合子 「婦人の創造力」
出典:青空文庫