出典:青空文庫
・・・それが側で見ていても、余り歯痒い気がするので、時には私も横合いから、『それは何でも君のように、隅から隅まで自分の心もちを点検してかかると云う事になると、行住坐臥さえ容易には出来はしない。だからどうせ世の中は理想通りに行かないものだとあきらめ・・・ 芥川竜之介 「開化の良人」
・・・彼はあわただしい法戦の間に、昼夜唱題し得る閑暇を得たことを喜び、行住坐臥に法華経をよみ行ずること、人生の至悦であると帰依者天津ノ城主工藤吉隆に書いている。 二年の後に日蓮は許されて鎌倉に帰った。 彼は法難によって殉教することを期する・・・ 倉田百三 「学生と先哲」
・・・私の講演を行住坐臥共に覚えていらっしゃいと言っても、心理作用に反した注文なら誰も承知する者はありません。これと同じようにあなた方と云うやはり一箇の団体の意識の内容を検して見るとたとえ一カ月に亘ろうが一年に亘ろうが一カ月には一カ月を括るべき炳・・・ 夏目漱石 「現代日本の開化」