・・・ 戸坂氏などは、文芸批評というものが多く主観的であるという現状のままを認容した上で、それより客観性、科学性において立ちまさったものとして別個に文明批評の出現をとりあげているのである。 それとは異ってプロレタリア文学批評の分野に、『文・・・ 宮本百合子 「近頃の感想」
・・・「かくの如く神経過敏になり、かくの如き環境に育って、彼等はいかなる種類の思想にも喜びを感じることが出来、しかも奇抜な形をとった思想をしか認容しない。」「バルザックが、その怪奇癖と、衒学趣味と晦冥で誇張的なその文体とで、以上にのべた近代人の趣・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・それ程、子の我ままを認容すれば、又、親の子に対する我ままも、少くとも其程度迄、認めなければならないのではないだろうか。 自分の勝手のよい時ばかり、親だもの、と振舞ったと云われても、自分等に確かな心の弁護が出来るとは思われない。「自分・・・ 宮本百合子 「二つの家を繋ぐ回想」
・・・従って非難は特にこの画家に当たるのではなく、この画家の態度を認容する現代日本画の手法そのものに当たるのだと承知していただきたい。『いでゆ』が我々の目前の題材を深く突き込んで捕えたことは、確かに喜ぶべきことである。またそれが目前の題材から・・・ 和辻哲郎 「院展遠望」
・・・ キリストの復活を認容することのできなかった物質論は今や人類の常識である。神が七日にして世界を創造したという物語のごときは「物語」以上に何の権威をも持たない。処女懐胎は狂信者の幻想に過ぎぬ。神の子の信仰は象徴的の意味においてさえも形而上・・・ 和辻哲郎 「『偶像再興』序言」
・・・ で、彼らの強みは、一般の常識が認容するところをふりかざすにある。たとえば「こういう人が実際あるのだ、」「こういう事を現に自分も感じている、多くの人も感じている、」「それがある理想から見て好ましくないことであろうとも、とにかく人間の自然・・・ 和辻哲郎 「「自然」を深めよ」
出典:青空文庫