・・・要するに吉田首相とその乾分は世界のブルジョア政治家も裏面でしかあらわさないような男としての醜態を参議院で演出してもう民自党に投票してくれないでもいいんだということを天下に声明しました。 男が酒をのんで女にからむということは恐らく日本にだ・・・ 宮本百合子 「泉山問題について」
・・・『世界の顔』で、国際的信望を失いつつある鳩山一郎氏が、自由党という第一党の首領であり得ることも、おどろかれるし、現職のまま幣原首相が進歩党の総裁となって入党したことも、民主とはかかることにさえつけられる名称かと、日本の民主主義の異常さに、目・・・ 宮本百合子 「一票の教訓」
・・・若い時代に大変苦心して大学教育をうけ、判事試補にまでなったのだが、当時ビスマークを首相として人民を圧迫していたウィルヘルム二世の官吏として人民に対することは、自分の良心にそむくことを知って、職をすて、改めて左官屋の仕事を学んだ。左官屋といっ・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
・・・婦人の政治参加の問題どころか、戦争に熱中した政府は戦争に対する人民の批判や疑問を封鎖するために、近衛首相を主唱者として、政党を解消させ、翼賛政治会というものにして、議会そのものの機能を奪った。婦人運動の各名流たちは、「精神総動員」に参加して・・・ 宮本百合子 「現実に立って」
・・・ 吉田首相は、新内閣を組織し、議会を再開した。しかし一般施政方針について演説しない。そのことで紛糾している。施政方針を語らないままで、公務員法案は一気にとおそうとしている。そういう妙なことは何の基盤で出来るのだろうか。吉田は腹の出来・・・ 宮本百合子 「現代史の蝶つがい」
・・・その沈潜するこころもちをまぎらすように、わやわやとした声でかつて軍部に扈従して政治や文学を語った作家が、こんどは、軍事基地施設を拒むことは出来ないという吉田首相をとりまいて文学・政治を談じている。 これらの現実にかかわらず、地球は、今日・・・ 宮本百合子 「五月のことば」
・・・……犬養は首相である。何処で? いつ? 反動団体の仕業であるのはすぐ感じられた。味噌汁をついで呉れている間にこちらから訊いた。「どこで?」「官邸。……軍人だって」「ふーむ」 犬養暗殺のニュースは、私に重く、暗く、鋭い情勢を感・・・ 宮本百合子 「刻々」
・・・散々不評だった下條文相をやめさせるきっかけに、吉田首相は法隆寺失火責任を負わせ、火事は政治漫画をくりひろげた。政府や文部委員会が、こんどの議会で現実に解決する能力のないこんにちの教育問題から逃げる楯として、国宝再認識問題を過度に利用しないよ・・・ 宮本百合子 「国宝」
・・・ 文学らしい言葉で云われている林房雄のみことのりに、だまって肯く英文学者を前において、彼は更に首相の息子吉田健一の「英国の文学」を、推薦している。吉田健一は「イギリスの文学はイギリス人の生活のふち飾りとして、レースの如く美しくあらわ・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・吉田首相は去年の秋頃、読売新聞の馬場社長と対談の中で、日本の将来について、先ず「外国人の安住の地に」したいと云う意味の事を話していました。私はその一言がどうしても忘れられません。日本は日本の人民の祖国であり、皆がそこで真面目に働いて、愛する・・・ 宮本百合子 「今年こそは」
出典:青空文庫