・・・それで心が慰まった。高校生に憧れて簡単にものにされる女たちを内心さげすんでいたが、しかし最後の三日目もやはり自信のなさで体が震えていた。唄ってくれと言われて、紅燃ゆる丘の花と校歌をうたったのだが、ふと母親のことを頭に泛べると涙がこぼれた。学・・・ 織田作之助 「雨」
・・・当時、歌人を志していた高校生の兄が大学に入る為帰省し、ぼくの美文的フォルマリズムの非を説いて、子規の『竹の里歌話』をすすめ、『赤い鳥』に自由詩を書かせました。当時作る所の『波』一篇は、白秋氏に激賞され、後選ばれて、アルス社『日本児童詩集』に・・・ 太宰治 「虚構の春」
・・・ 中学や高校生の質が急に低下して来ていることを、明日の日本のために慶賀する人が果してあるだろうか。形式にしばられれば、徳育も一つの頽廃であることは明らかだと思う。 小学校の先生の不足はこの二三年来到るところで云われている。八年制にな・・・ 宮本百合子 「国民学校への過程」
出典:青空文庫