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・・・さちよは、おナスと呼ばれていた。ウリの蔓になったナスビというわけであった。事実、さちよは、色が黒かった。自分でも、ひどくぶ器量だと信じていた。私は醜いから、心がけだけでも、よくしなければならない、と一生懸命、努力していた。いつも、組長であっ・・・
太宰治
「火の鳥」
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・・・すべての主婦は、生活を守ろうとするたゆみない努力によって、キウリ一本、ナス一つにだまされることを防いでいます。三度めの世界戦争という戦慄すべき悲劇をだまし売りで押しつけられていられるものでしょうか。〔一九四九年八月〕・・・
宮本百合子
「わたしたちには選ぶ権利がある」