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・・・サビシガリさんでも無ければ、サムガリさんでも無いの。サビガリさんが、よく似合う。いつも、小説ばっかり書いているおじさん。けさほどは、お葉書ありがとう。ちょうど朝御飯のとき着きましたので、みんなに読んであげました。そんなに毎日毎日チクチク小説・・・
太宰治
「俗天使」
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・・・ 丁度、二人がしっくりと抱き合って暮す時の感じを、全体的な、ホールサムな満ち足りた生存だとすると、数千哩互を隔てられた彼女自身の一人の存在は、まるで、その円らかな一つの肉体を、真中から、無残にも二つ切りにして、その生々しく濡れた切口を、・・・
宮本百合子
「無題(三)」