出典:青空文庫
・・・ チャップリンよりもあるいはむしろロシアのエイゼンシュテインに文楽を見せて、そうして彼の理論に立脚した文楽論を聞く事ができたらさだめておもしろいことであろうと想像される、彼はおそらく左団次の修禅寺物語よりは数層倍多くの暗示と示唆を発見す・・・ 寺田寅彦 「生ける人形」
・・・また、エイゼンシュテインは港の埠頭における虐殺の残酷さを見せるために、階段をころがり落ちる乳母車を写した。「彫刻家が大理石とブロンズで考えるように、映画家はカメラとフィルムで考えそうして選択することが第一義である。」 役者の選択につ・・・ 寺田寅彦 「映画芸術」
・・・ エイゼンシュテインがいかなる程度にわが国の俳諧を理解してこう言っているかはわかりかねるが、日本人の目から見ても最もすぐれたモンタージュ芸術の典型として推すべきものはいわゆる俳諧連句そのものである。 ヤニングスとディートリヒの「青い・・・ 寺田寅彦 「映画雑感(1[#「1」はローマ数字、1-13-21])」
プドーフキンやエイゼンシュテインらの映画の芸術的価値が世界的に認められると同時に彼らのいわゆるモンタージュの理論がだいぶ持てはやされ、日本でもある方面ではこのモンタージュということが一種のはやり言葉になったかのように見える・・・ 寺田寅彦 「ラジオ・モンタージュ」
・・・そうしてプドーフキンがどう言った、エイゼンシュテインがどう言ったと言わなければ収まらないように見える。 かようにして連句芸術は、文学者からも音楽家からも映画界からも閑却されて、あたかも過去の幽霊のごとくなってしまった。由来現今の日本人は・・・ 寺田寅彦 「連句雑俎」
・・・ そうそう、メイエルホリドで思い出したが、エイゼンシュテインがアメリカでデマをとばされて、つかまったってね。ああいう映画監督の俸給どの位だろう……いくぶんゴシップ趣味だが…… ――待ってくれ、虎の子を出して見るから、こりゃ多い。七・・・ 宮本百合子 「ソヴェトの芝居」
・・・それで今までプドフキンでも、エイゼンシュテインでも非常に長い時間かかって傑作をこしらえた。彼等の製作は、どれだけ我々の眼の前に出て来ない沢山の習作の中から抜粋して映画にされたか分らない。だから隠れた時間と労力が沢山ある。そのことについて今問・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」