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・・・ 例えば、エセーニンは、所謂田園詩人らしい才能と欠点とを充分発揮して、短い生涯を終った詩人の一人であった。彼は、農村の往還に、懐しいロシアの耕地に、黒い鉄の手の出現することは、どうしても理解も我慢も出来なかった。詩を書くと、類の少ない「・・・
宮本百合子
「五ヵ年計画とソヴェトの芸術」
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・・・ちょうど第一次五ヵ年計画のはじまる前後、一九二〇年代の後半、私がモスクワにいた時分、エセーニンの詩が一部に愛好されていた。エセーニンは、さまざまの問題はあろうとも、詩というものをつくった詩人であったことは疑いない。彼の哀愁にみち、生きる目的・・・
宮本百合子
「政治と作家の現実」