ディラックのくうこうりろん【ディラックの空孔理論】
ディラックの方程式で、電子の運動エネルギーが負になる解から導かれた理論。負のエネルギー状態は電子に占められて真空をつくっているが、真空から一つの電子が正のエネルギーに励起されると、電子のもとの位置に孔 (あな) があき、その孔は電子の反粒子(陽電子)のような動きをするというもの。
ディラックのほうていしき【ディラックの方程式】
ディラックが導き出した、電子の性質を記述する相対論的量子力学の波動方程式。その解は、正のエネルギー状態と同時に、エネルギーが負になる状態も示す。
ディラックりゅうし【ディラック粒子】
相対論的量子力学の枠組みで定式化されたディラックの方程式に従う粒子。スピン1/2のフェルミ粒子をさし、電子・μ粒子・陽子・中性子などが含まれる。特殊な条件下において、物質中で形式的に質量が零の粒子としてふるまうことが知られている。電子については、特にディラック電子ともいう。
ディラックでんし【ディラック電子】
質量が零のディラック粒子として振る舞う電子。
ディラックていすう【ディラック定数】
量子力学における基本定数。プランク定数を2πで割った値。記号ħで表し、ħ=1.054×10−34J・s(ジュール秒)。換算プランク定数。 [補説]記号ħは「エッチバー」と読む。