出典:青空文庫
・・・ 演説者は脊の低い男で、顔が写真で見たトロツキーによく似ていた。右の手を空気を切るように縦横に打ち振っては信じられないほど大きな声でどなっていた。時々左の手を家畜の方に差し延べては一種特別な訴えるような表情をして見せた。 演説が終っ・・・ 寺田寅彦 「夢」
・・・猪木氏の出現は、今日の若い読者層が過去の社会科学の文献に通じていず、したがって同氏が論拠とされている、ローザ・ルクセンブルグやトロツキーなどの引用文の、革命理論の誤謬を実際的に批判する能力は持っていないというギャップをねらっています。同氏が・・・ 宮本百合子 「新しい抵抗について」
・・・また、トロツキーの「裏切られた革命」を大綜合雑誌が別冊附録としたようなジャーナリズムの気風についても見のがしていない。文学とそれらの著述の本質が全くちがうものであることを、文学者としての良心と責任とにおいて明かにしようとしている。このような・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第十一巻)」
・・・ この間何かで、ベルリンのピスカトールが、ブルガーコフのモスクワで上演禁止になった作品を演出する計画をたてているというようなうわさをよんだ。 これはどうしたことだろうか? トロツキーが暗にほのめかすように、ソヴェトは天才を生かさない場所・・・ 宮本百合子 「新たなプロレタリア文学」
・・・『中央公論』と『改造』とが北支の問題をトピックとしているほか、トロツキーの「裏切られた革命」の翻訳を別冊附録としているのは、誰しも一応の注目をひかれることである。『改造』の附録の方の翻訳署名責任者として荒畑寒村氏が、最後に「訳者の言葉」を附・・・ 宮本百合子 「文芸時評」
・・・そのゴーリキイが、ソヴェト人民の建設をさまたげようと企んだトロツキー一派の反革命派のために毒殺されたのは一九三三年でした。ゴーリキイはそのとき六十五歳でした。 宮本百合子 「マクシム・ゴーリキイについて」
・・・を機械的に暗誦し易いフレーズにまとめて云っているのであるが、この見解がもし作者自身にとって具体的な内容で把握されているのであったら、関西財界の大立物であるという友人に向って「日本の左翼はスターリン派かトロツキー派か、どっちが有力なんだ。君聞・・・ 宮本百合子 「「迷いの末は」」