フェルミりゅうし【フェルミ粒子】
素粒子のうち、半整数スピンをもつ粒子や、奇数個の核子からなる粒子。電子・陽子・中性子や、ω (オメガ) 粒子など。フェルミオン。→ボース粒子
フェルミうちゅうぼうえんきょう【フェルミ宇宙望遠鏡】
⇒フェルミガンマ線宇宙望遠鏡
フェルミガンマせんうちゅうぼうえんきょう【フェルミγ線宇宙望遠鏡/フェルミガンマ線宇宙望遠鏡】
2008年6月、NASA (ナサ) (米航空宇宙局)が打ち上げたガンマ線観測衛星。名称は、宇宙線の加速機構の一つを初めて提唱したイタリアの物理学者エンリコ=フェルミに由来する。現名称以前にはGLAST (グラスト) と呼ばれていた。大面積望遠鏡(LAT)とガンマ線バーストモニター(GBM)という二つのガンマ線検出器を搭載。ガンマ線による掃天観測、ガンマ線バーストのような突発的な高エネルギーの天体現象の捕捉、活動銀河核・クエーサー・パルサーなどの詳細な観測を行う。フェルミ望遠鏡。フェルミ宇宙望遠鏡。フェルミガンマ線望遠鏡。
フェルミすいてい【フェルミ推定】
正確な値を得ることや実際に調査することが困難な数量を、わずかな情報や値を元に論理的な推論を進め、短時間で定量的な概算をすること。名称は、この類の概算を得意とした物理学者エンリコ=フェルミに由来する。フェルミ自身がシカゴ大学の学生に対して出題した「シカゴに何人のピアノ調律師がいるか」がよく知られる。理工学の分野におけるオーダーエスティメーションとほぼ同義。
フェルミぼうえんきょう【フェルミ望遠鏡】
⇒フェルミガンマ線宇宙望遠鏡
フェルミこくりつかそくきけんきゅうじょ【フェルミ国立加速器研究所】
《Fermi National Accelerator Laboratory》米国の高エネルギー物理学研究所。1967年設立。イリノイ州シカゴ近郊に所在。名称は「原子炉の父」とよばれるエンリコ=フェルミから。2011年に運用を停止した衝突型加速器テバトロンは、2008年にCERN(欧州合同原子核機構)のLHC(大型ハドロン衝突型加速器)が稼動するまで世界最大であった。
フェルミしゅくたい【フェルミ縮退】
フェルミ粒子の系が最低のエネルギー状態で示す縮退。電子などのフェルミ粒子はパウリの原理により、2個以上の粒子が一つのエネルギーおよびスピンの状態を占めることができない。したがって、その系を構成するすべてのフェルミ粒子がエネルギーの低い順から占有することになる。この状態をフェルミ縮退といい、室温程度の金属中の自由電子、恒星の中心核、白色矮星や中性子星などで生じる。
フェルミエネルギー
《Fermi energyから》⇒フェルミ準位
フェルミじゅんい【フェルミ準位】
フェルミディラック統計に従うフェルミ粒子が絶対零度において示す最大のエネルギー準位。電子などのフェルミ粒子はパウリの原理により、エネルギー準位の低い順から一つずつ粒子が埋まり、あるエネルギーを超えると粒子は存在せず、上限値としてフェルミ準位が定義される。フェルミエネルギー。
フェルミディラックとうけい【フェルミディラック統計】
半整数のスピンをもつフェルミ粒子の集まりが示す統計的性質。1926年にイタリアのフェルミと英国のディラックがそれぞれ独立して発見。パウリの原理により、一つの状態に0個または1個の粒子しか占有できない。絶対零度ではエネルギーの低い順から粒子が埋まり、あるエネルギーを超えると粒子が存在せず、その上限をフェルミ準位とよぶ。フェルミ統計。→ボースアインシュタイン統計