出典:青空文庫
・・・しかしベルナールに言わせると彼の理論と目的とが矛盾していたために生涯仕上げができなかったというのである。それにしてもセザンヌが同じ「静物」に百回も対したという心持ちがどうも自分にはわかりかねていたが、どうしてもできあがらぬ自分の自画像をかい・・・ 寺田寅彦 「自画像」
・・・ 父親のベルナールはタルン県の村を出て学問をうけ、大革命時代には弁護士をやった。後、陸軍の経理部に入って、世間の血なまぐさい騒ぎと自分の財布とが或る落付きを得た五十一歳の時三十二も年下のロオルという上役の娘を妻にした。 いかにも南フ・・・ 宮本百合子 「バルザックに対する評価」
・・・ 「現代史の裏面」 ベルナール氏、ヴァンダ、オーギュスト。バルザックはここでディケンズの真似をしている。不器用にしている。 ベルナール氏の娘への溺愛について、かくされた貧困について。 当時のイギリス・・・ 宮本百合子 「バルザックについてのノート」