出典:青空文庫
・・・英のシエクスピールやミルトンや仏のパスカルやコルネイユや皆別に機軸を出さざる莫し。然らずんば何の尊ぶ可きことか之れ有らん。 記してあるのみならず、平生予に向っても昔し蘇東坡は極力孟子の文を学び、竟に孟子以外に一家を成すに至った。若し・・・ 幸徳秋水 「文士としての兆民先生」
・・・実際今の日本の文学者の前でホーマーとかミルトンとかいう名前を持ち出すのはだれでも気がひける事だろうと思う。文学に限らず科学の方面でも今どきベーコンやニュートンの書いたものを読むのは気がさすような周囲の状態である。古いものを新しい目で見るのや・・・ 寺田寅彦 「丸善と三越」
・・・僕は自慢じゃないが文学者の名なんかシェクスピヤとミルトンとそのほかに二三人しか知らんのだ」 津田君はこんな人間と学問上の議論をするのは無駄だと思ったか「それだから宇野の御嬢さんもよく注意したまいと云う事さ」と話を元へ戻す。「うん注意・・・ 夏目漱石 「琴のそら音」
・・・ ちょうど大学の三年の時だったか、今の早稲田大学、昔の東京専門学校へ英語の教師に行って、ミルトンのアレオパジチカというむずかしい本を教えさされて、大変困ったことがあった。あの早稲田の学生であって、子規や僕らの俳友の藤野古白は姿見橋――太・・・ 夏目漱石 「僕の昔」
・・・ ホーマーもミルトンも、只「真」の一字がある故に尊いではないか。 孔子、基督、その他あらゆる人々の頭上高く、真の光りに被われて居たが故に偉大なのである。 道徳も、芸術も宗教も、その源は此の「真」と云う一字のみである。「真」外・・・ 宮本百合子 「大いなるもの」
・・・イギリスにおいて、ミルトンの一夫一婦 純潔な家庭を称揚したパラダイス ロストフランスの人々も家庭というものの幸福のために坊主の追放を考えた。p.72のルカシュスの言葉〔欄外に〕 ドイツ ルーテル スコットランド ノックス・・・ 宮本百合子 「バルザック」