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・・・「…………」「自分の生活が壊れてしまえばほんとうの冷静は来ると思う。水底の岩に落ちつく木の葉かな。……」「丈草だね。……そうか、しばらく来なかったな」「そんなこと。……しかしこんな考えは孤独にするな」「俺は君がそのうちに・・・
梶井基次郎
「冬の日」
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・・・去来、丈草もその人にあらざりき。其角、嵐雪もその人にあらざりき。五色墨の徒もとよりこれを知らず。新虚栗の時何者をか攫まんとして得るところあらず。芭蕉死後百年に垂んとしてはじめて蕪村は現われたり。彼は天命を負うて俳諧壇上に立てり。されども世は・・・
正岡子規
「俳人蕪村」