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・・・母は時々、金沢ふみ子さんや、それから、他の娘さんでやっぱり一躍有名になったひとの噂を、よそで聞いて来ては興奮して、和子だって、書けば書けるのにねえ、根気が無いからいけません、むかし加賀の千代女が、はじめてお師匠さんのところへ俳句を教わりに行・・・
太宰治
「千代女」
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・・・つづいて筑摩書房から「千代女」が、高梨書店から「信天翁」が出る筈です。「信天翁」には、主として随筆を収録しました。七月までには、みんな出るでしょう。 少し休みたいと思います。私はことし三十三であります。女の子がひとりあります。・・・
太宰治
「私の著作集」