出典:青空文庫
・・・さてまた当時において秀吉の威光を背後に負いて、目眩いほどに光り輝いたものは千利休であった。勿論利休は不世出の英霊漢である。兵政の世界において秀吉が不世出の人であったと同様に、趣味の世界においては先ず以て最高位に立つべき不世出の人であった。足・・・ 幸田露伴 「骨董」
・・・案ずるに先生はこのたびの茶会に於いて、かの千利休の遺訓と称せられる「茶の湯とはただ湯をわかし茶をたてて、飲むばかりなるものと知るべし」という歌の心を実際に顕現して見せようと計ったのであろう。ふんどし一つのお姿も、利休七ケ条の中の、 一、・・・ 太宰治 「不審庵」
・・・そして、その感情生活も性格から来る不羈奔放さとともに、専制的な君主らしく一人よがりで気ままであったこと、伝説化されている淀君のような存在もあり、一方には千利休の娘に対する醜聞なども伝えられている。 当時の社会では、征服した者が権力を以て・・・ 宮本百合子 「私たちの建設」