出典:青空文庫
・・・「渋谷家の始祖」は一九一九年のはじめにニューヨークで書かれた。二十一歳になった作者が、めずらしく病的で陰惨な一人の男である主人公の一生を追究している。描写のほとんどない、ひた押しの書きぶりにも特徴がある。 ニューヨークのようなところ・・・ 宮本百合子 「あとがき(『宮本百合子選集』第二巻)」
・・・ 一日 渋谷家の始祖。 五日 ダディよりの報知、帰ると決心する。 六日 買物、電報を打つ切手をたのむ。 青木さんの来た日曜。 此日に岩本、森田氏と来て、自分に日記をくれる。・・・ 宮本百合子 「「黄銅時代」創作メモ」
・・・彼等の構成した国家の、地理的国境と、政治的体系と、彼等の始祖からの気質の傾向に種々の変遷を経つつ今日に至った一群の人間なのでございます。名は約束でございます。日本人と云う総称が、其の裡に無数の箇性的差異を包含して居る通り、人類と云う響は又其・・・ 宮本百合子 「C先生への手紙」
・・・p.271○ドストイェフスキーの神は、肯定と否定とを同時にもつ対立の始祖であり、従って不安の原理だからである。p.272○彼は神を安静として夢みたのに、しかも見出したのは矢張り火としてであった。p.273○つねに逆に還り、徹底的・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」