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・・・緑雨が一葉の家へしげしげ出入し初めたのはこの時代であって、同じ下宿に燻ぶっていた大野洒竹の関係から馬場孤蝶、戸川秋骨というような『文学界』連と交際を初めたのが一葉の家へ出入する機会となったのであろう。その頃から私とは段々疎遠となって余り往来・・・
内田魯庵
「斎藤緑雨」
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・・・吾々はよく、あの砂糖屋の奥にあった、茶室風の部屋に集って、其処で一緒に茶を呑みながら、雑誌を編輯したり、それから文学を談じたりして時の経つのを忘れる位であった。戸川秋骨君、馬場孤蝶君は、私が明治学院時代の友達という関係から、自然と文学界の仲・・・
島崎藤村
「北村透谷の短き一生」