出典:青空文庫
・・・「労働」KARL SCHOENHERR 二人共若くて丈夫である。男はカスパル、女はレジイと云う。愛し合っている。 以上、でたらめに本をひらいて、行きあたりばったり、その書き出しの一行だけを、順序不同に並べてみましたが、どうです。・・・ 太宰治 「女の決闘」
・・・ カール・ヒルティ先生の曰く、諸君は教養ある学生であるから、酒を飲んでも乱に陥らない。故に無害である。否、時には健康上有益である。しかし、諸君を真似て飲む中学生、又は労働者たちは自らを制することが出来ぬため、酒に溺れ、その為に身を亡す危険が・・・ 太宰治 「乞食学生」
・・・これについて持出された So viele Sprachen einer versteht, so viele Male ist er Mensch. というカール五世の言葉に対して彼は、「語学競技者」は必ずしも「人間」の先頭に立つものではな・・・ 寺田寅彦 「アインシュタインの教育観」
・・・左右田君に聞くと Wollen Sie dort anschliessen ? と云っただけなのだそうである。カール総長の握手の力の強いのにびっくりした。総長にでもなる人にはやはりそれだけの活力があるのかと思われた。 入学証書と云ったよ・・・ 寺田寅彦 「ベルリン大学(1909-1910)」
一 カールの持った「三人の聖者」 ドイツの南の小さい一つの湖から注ぎ出て、深い峡谷の間を流れ、やがて葡萄の美しく実る地方を通って、遠くオランダの海に河口を開いている大きい河がある。それは有名なライン河・・・ 宮本百合子 「カール・マルクスとその夫人」
・・・父をカール・シュミット、母をケーテ・ループといい、娘ケーテの生れた時代のシュミット一家は、ケーニヒスベルクの左官屋の親方として、なかなか大規模の生活を営んでいた。 父親のカール・シュミットという人は、ありふれた左官屋の親方ではなかった。・・・ 宮本百合子 「ケーテ・コルヴィッツの画業」
・・・ 手にとって見ると、ローザ・ルクセンブルグがヨーロッパ大戦中三年四ヵ月の間監禁生活を強いられていた、その期間にカール・リープクネヒトの妻にあてて書いた手紙が集録されたものであった。 ところどころ、それとなく拾い読みをしては私は激しい・・・ 宮本百合子 「生活の道より」
・・・農村・工場・学校・諸経営から前線に赴いて民主主義を防衛して闘った勇ましい一人一人の人生が、ナチ軍の狂信的な一個のオットウだの、あわれに強制された一人のカールだのの過去三十年の運命とは、一つも似たところないものであった。ソヴェト同盟の今日から・・・ 宮本百合子 「政治と作家の現実」
・・・兵士は二人ともラテン系のアメリカ人で、カールした髪が、帽子の下からはみ出ている。彼等としては、普通に国で女の子と喋る時のように喋っているつもりであろうけれども、その栄養のよい体の楽々とした吊皮への下りようや、何か云っては娘の顔を覗く工合が、・・・ 宮本百合子 「その源」
・・・一方、カール・ラデックがこの八月第一回全連邦ソヴェト作家大会で行った報告演説が、「プロレタリア芸術の課題」という見出しで翻訳されて『改造』にのっている。 二つの論文は、互にもつれ合い、響きあってその底にだんだんと高まる光った歴史的現実の・・・ 宮本百合子 「冬を越す蕾」