出典:青空文庫
・・・そういうものの中でもファラデー、ヘルムホルツ、マッハ、ブラグなどのものはすぐれた例である。それがすぐれている所因は単に事がらを教えるのみでなく、科学的なものの考え方を教え、科学的の精神を読者の中によびさますからである。そういうものを書きうる・・・ 寺田寅彦 「科学と文学」
・・・に進むべき手はずになっている。マッハの「力学」一巻でも読破して多少自分の批評的な目を働かせてみて始めていくらか「理解」らしい理解が芽を吹いて来る。しかしよくよく考えてみるとそれではまだ充分だろうとは思われない。 科学上の知識の真価を知る・・・ 寺田寅彦 「相対性原理側面観」
・・・は多大なものであるが、しかし人間の直感する「時」の全部はtの符号に含まれていない。 ニュートンの考えたような、現象に無関係な「絶対的の時」はマッハによって批評されたのみならず、輓近相対性原理の研究と共にさらに多くの変更を余儀なくされた。・・・ 寺田寅彦 「時の観念とエントロピーならびにプロバビリティ」
・・・もっともマッハのごときは感覚以外に実在はないと論じているが、彼のいわゆる感覚の世界は普通吾人のいう外界の別名と考えればここに述べる所とはあえて矛盾しない。 外界の事物の存在を吾人が感ずるのは前述べたとおり直接間接に吾人の五感の助けによる・・・ 寺田寅彦 「物理学と感覚」