毛氈を被る
1 《歌舞伎で、死人になった役者を、毛氈で隠して舞台から連れ出したところから》しくじる。失敗する。特に、主人や親に顔むけのできないことをして、その家を追い出されたり、放蕩 (ほうとう) して勘当されたりするのにいう。 2 《遊女が見世に出ている時は毛氈を敷いていたところから》女郎買いのために金を使う。また、金がなくなる。「夜べ—・ったことは噯気 (おくび) にも出さず」〈滑・古朽木〉
もうせんごけ【毛氈苔】
モウセンゴケ科の多年草。食虫植物。山地の湿地に生える。葉は杓子 (しゃくし) 形で長い柄があり、数枚が根際から出る。葉の表面に密生する紅紫色の腺毛 (せんもう) から粘液を出し、虫を捕らえる。夏、約20センチの花茎を伸ばして白い5弁花を穂状につける。
出典:青空文庫
・・・に、燃え立つような掛毛氈を前にして、始めて姿を見せたのです。それ・・・ 芥川竜之介「開化の良人」
・・・その前へ毛氈を二枚敷いて、床をかけるかわりにした。鮮やかな緋の色・・・ 芥川竜之介「老年」
・・・前に、肩膝を透いて、毛氈の緋が流れる。色紙、短冊でも並びそうな、・・・ 泉鏡花「木の子説法」