が/は/も の解説 - 小学館 類語例解辞典

が/は/も の共通する意味

主語・主題を表わす。

が/は/も の使い方

▽(1)桜の花が咲いている ▽(2)冷蔵庫の中にジュースがある ▽(3)夕焼けがきれいだ ▽(4)私が毎朝庭の掃除をしている ▽(5)私がこの子の父親です
▽(1)人間は考える葦(あし)である ▽(2)桜の花は美しい ▽(3)君の考えは間違っている ▽(4)この映画は先週見ました ▽(5)姉は大学生で、私は高校生です ▽(6)私は数学は苦手だ ▽(7)私は東京には住みたくない
▽(1)今日もよく晴れています ▽(2)私は英語も数学も苦手です ▽(3)夜もふけてきた ▽(4)子供にも分かる道理 ▽(5)この一月で五キロも太った ▽(6)どこにも行きたくない

が/は/も の使い分け

主語を表わす助詞として、「が」と「は」、および「も」を挙げることがあるが、これらが常に主語を表わすわけではない。たとえば、「お酒飲まない」の「お酒は」は主語ではないし、「今日降っている」では一体どちらが主語なのかという問題が生じる。「が」は主語を表わすといえるが、「は」や「も」の働きは、主語を表わすことではない。この違いは、「が」を格助詞、「は」と「も」を係助詞(あるいは副助詞)としている点にも現れている。
「が」は、主に名詞につき、その名詞が(述語の表わす)動作・作用・存在・状態などの主体であることを表わす。ただし、述語が習慣的動作や継続的状態を表わすような場合には、「が」は他を排除するような意味を生じる。たとえば「が」の例文(4)では、他のだれでもない、この私こそが、という意味が込められている。
「は」の働きは、文の主題を示すことにある。主題とは、ある事柄に対して話し手が何かしらの判断を下すときに、その判断の対象となる事柄をさす。主題として取りたてられるのは主語とは限らず、さまざまな事柄がその対象となりえる(「は」の例文(1)~(4))。また、主題を示すだけでなく、他と対比的に述べて区別する意味がつけ加わることがある。「は」が主題を表わすか対比を表わすかは、文脈によって決定されることが多いが、例文(5)のような「Xは~、Yは…」の文型をとると、対比の意味が明確になる。例文(6)の「XはYは…」の文型では、一般に、最初の「は」は主題を、二番目以降の「は」は対比を表わす。
「が」と「は」の使い分けに関しては、おおよそ次のような違いがある。「が」が個別的な出来事や現象を描写する文(「が」の例文(1))で用いられるのに対して、「は」は一般的な判断を下す文(「は」の例文(1))や、すでに会話の中で話題となっている事柄を取り上げて述べる文(「は」の例文(3))で用いられる。たとえば、「夕焼けきれいだ」というのは、今まさに空を仰いでいるときの表現であり、きれいなのはとりあえずその日の夕焼けのことでしかない。これに対して、「夕焼けきれいだ」と表現するときに夕焼けを見ている必要はなく、夕焼けそのものについてきれいだという一般的な判断を下している表現となる。
「も」も主題を示すが、「は」が一つの事柄を取りたてるのに対して、「も」は同類の事柄が他にも成立していることを前提としている。同類の事柄は、「も」の例文(1)のように直接示さない場合(「きのう晴れていた」ことが前提となる)と、例文(2)のように並立して示す場合がある。また、例文(3)のように同類の事柄が特定できない場合もある。その他、極端な例を示すことによって程度の著しさを強調する用法(例文(4))、数量などについてその著しさを強調する用法(例文(5))、不定称の代名詞(「何」「だれ」「どこ」など)につき、述語の否定(もしくは肯定)と呼応して全面否定(もしくは全面肯定)を表わす用法(例文(6))などもある。

が/は/も の類語対比表

私…行きますあっ、雨…降ってきた日本の首都…東京だだれ…知らない