
「public image」(世間的イメージ)
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英語ニュースが伝える「JAPAN」をご紹介する水曜コラム、今回は引き続き、もはや「日本ニュース」ではないトヨタ自動車のリコールについてです。英語メディアに繰り返し、対応の遅さと説明不足、世界的企業としての自覚不足を批判されてきたトヨタ自動車ですが、米世論や米政府に大きな影響力をもつワシントン・ポスト紙に豊田章男社長が寄稿したり、記者会見で英語でコメントしたりと、「世界のトヨタ」としての挽回に乗り出した様子です。(gooニュース 加藤祐子)
トヨタのパブリックなイメージ
ようやく社長が5日夜に記者会見したかと思ったら、英語コメントを用意していなかった。英語で世界に語りかける必要を認識していないのか、トヨタは世界的企業なのに――という英語メディアの批判をご紹介したばかりですが、9日に開いた社長会見では冒頭から英語でコメント。新型プリウスなどのリコールを英語で説明した上で――
「Let me assure everyone that we will double our commitment to the quality that is the lifeline of our company, with myself taking the lead and by keeping to the genchi-genbutsu principle. All of us at Toyota will tackle the issue in close cooperation with the dealers and with the suppliers. Together we will do everythin in our power to regain the confidence of our customers.
(私自身が先頭に立ち、『現地現物』原則を守りながら、弊社の生命線である品質に対する注力を倍増することを、皆様にお約束いたします。トヨタの全員は一丸となって、ディーラーやサプライヤーと緊密に協力しながら問題に取り組みます。お客さまの信頼を回復するため、私どもは一体となって出来る限りの力を尽くして参ります)」
――と、英語コメントを読み上げました。一部記事には「なまりの強い英語」という描写もありましたが、帰国子女ではない日本人の英語としては、丁寧で聞き取りやすい発音でした。
そして同日、米ワシントン・ポスト紙に、「世間的イメージを修復するためのトヨタの計画(Toyota's plan to repair its public image)」と題した豊田社長の寄稿が掲載されました。
AP通信は一気に積極策へ転じたトヨタのこうした動きを「かつて無敵だった自社のブランド力を回復しようと、世界最大の自動車メーカーが、総力をかけた攻勢(an all-out drive)に打って出ている」と描写しています。英語メディアの批判を機に、「このままではまずい」という認識をトヨタが抱いたのだとしたら、何よりです。
リコール対象車種の問題部分を修復し安全を確保するのはもちろん大事ですが、それはおそらく「技術のトヨタ」には可能なことでしょう。しかし「public image(世間的イメージ、世間がどう見ているか)」という漠然としたものについて、トヨタは自ら失地を回復できるのか。これまでの対応のまずさから、「トヨタは危機管理とPRが下手すぎる」と浸透してしまった「public image」を、「さすがトヨタ、危機管理もPRも一流だ」と見られるまで回復できるか、注目されています。
ワシントン・ポスト紙への社長寄稿には次のような言葉が並んでいます。
「トヨタ車を購入される消費者の方々は、単に車やトラックやワゴンを購入するのではありません。私たちの会社に信頼を寄せてくださっているのです」
「私たちは皆さんが弊社に要求される高い基準を満足させて参りませんでした。私はそれがとても残念です。謝罪いたします」 「As the president of Toyota, I take personal responsibility.(トヨタの社長として、これは私自身の責任です)」
「だからこそ私は、トヨタの言葉とトヨタの製品に対する皆様の信頼を回復すべく、自ら対応の指揮をとることにしました)」 この信頼回復の具体策として、寄稿記事は3つのポイントを挙げています。
(1) 再発防止策として、トヨタの世界業務について「top-to-bottom review(上から下までの徹底見直し)」 を開始。北米での品質管理体制強化のため、アメリカでは自動車品質管理センターを設ける。
(2) 外部専門家からなる「blue-ribbon safety advisory group(最高レベルの安全諮問グループ)」を設置し、トヨタの業務に問題はないか第三者的に検討してもらう。検討結果とトヨタの対応は公表する。
(3) 消費者から直接寄せられる苦情にもっと積極対応する必要があると、十分承知している。品質と安全に関する重要情報をトヨタ・グループ内でより良く共有するために、必要な措置を導入している。グループ内の情報共有不足が、現状に寄与した問題だと認識している。アクセル・ペダルについては、欧州での問題と北米での問題について「failed to connect the dots(点と点をつなげ損ねた)」のが問題だった。 これがほかならぬワシントン・ポストへの寄稿だったというのが、とても興味深いです。トヨタに対してアメリカでは集団訴訟の動きもありますが、もっぱら懸念されるのは議会公聴会やオバマ政権の対応、つまりはワシントンの対応でしょう。それだけに、まずはワシントン・ポスト紙上で社長自ら訴えることにしたのかもしれません。特に下記の部分がトヨタとしては、ワシントン・ポストに寄稿するポイントだったのではないかと推測します。
「トヨタは、運転者や同乗者の安全を守る責任をもつ複数の政府機関との接触を高めて参ります。私はレイ・ラフード運輸長官とお話をさせていただき、安全当局や規制当局との連絡チャンネルを常に開いておくこと、関係当局とはもっと頻繁に情報交換すること、そして安全規制当局の要請に対応するためもっと注意深くあることを、私自らお約束いたしました」
そして豊田社長の寄稿は最後に、こう結んでいます。
「You have my commitment that Toyota will revitalize the simple but powerful principle that has guided us for 50 years: Toyota will build the highest-quality, safest and most reliable automobiles in the world. (私は皆様にお約束します。トヨタを50年にわたって導いてきた、単純ではあるけれども強力な理念を再生させると。トヨタは世界で最高級の、最も安全で最も信頼できる自動車を作り続けます。これがトヨタの理念です)」(>>次ページ:日本の世間的イメージと自己イメージ)
ようやく社長が5日夜に記者会見したかと思ったら、英語コメントを用意していなかった。英語で世界に語りかける必要を認識していないのか、トヨタは世界的企業なのに――という英語メディアの批判をご紹介したばかりですが、9日に開いた社長会見では冒頭から英語でコメント。新型プリウスなどのリコールを英語で説明した上で――
「Let me assure everyone that we will double our commitment to the quality that is the lifeline of our company, with myself taking the lead and by keeping to the genchi-genbutsu principle. All of us at Toyota will tackle the issue in close cooperation with the dealers and with the suppliers. Together we will do everythin in our power to regain the confidence of our customers.
(私自身が先頭に立ち、『現地現物』原則を守りながら、弊社の生命線である品質に対する注力を倍増することを、皆様にお約束いたします。トヨタの全員は一丸となって、ディーラーやサプライヤーと緊密に協力しながら問題に取り組みます。お客さまの信頼を回復するため、私どもは一体となって出来る限りの力を尽くして参ります)」
――と、英語コメントを読み上げました。一部記事には「なまりの強い英語」という描写もありましたが、帰国子女ではない日本人の英語としては、丁寧で聞き取りやすい発音でした。
そして同日、米ワシントン・ポスト紙に、「世間的イメージを修復するためのトヨタの計画(Toyota's plan to repair its public image)」と題した豊田社長の寄稿が掲載されました。
AP通信は一気に積極策へ転じたトヨタのこうした動きを「かつて無敵だった自社のブランド力を回復しようと、世界最大の自動車メーカーが、総力をかけた攻勢(an all-out drive)に打って出ている」と描写しています。英語メディアの批判を機に、「このままではまずい」という認識をトヨタが抱いたのだとしたら、何よりです。
リコール対象車種の問題部分を修復し安全を確保するのはもちろん大事ですが、それはおそらく「技術のトヨタ」には可能なことでしょう。しかし「public image(世間的イメージ、世間がどう見ているか)」という漠然としたものについて、トヨタは自ら失地を回復できるのか。これまでの対応のまずさから、「トヨタは危機管理とPRが下手すぎる」と浸透してしまった「public image」を、「さすがトヨタ、危機管理もPRも一流だ」と見られるまで回復できるか、注目されています。
ワシントン・ポスト紙への社長寄稿には次のような言葉が並んでいます。
「トヨタ車を購入される消費者の方々は、単に車やトラックやワゴンを購入するのではありません。私たちの会社に信頼を寄せてくださっているのです」
「私たちは皆さんが弊社に要求される高い基準を満足させて参りませんでした。私はそれがとても残念です。謝罪いたします」 「As the president of Toyota, I take personal responsibility.(トヨタの社長として、これは私自身の責任です)」
「だからこそ私は、トヨタの言葉とトヨタの製品に対する皆様の信頼を回復すべく、自ら対応の指揮をとることにしました)」 この信頼回復の具体策として、寄稿記事は3つのポイントを挙げています。
(1) 再発防止策として、トヨタの世界業務について「top-to-bottom review(上から下までの徹底見直し)」 を開始。北米での品質管理体制強化のため、アメリカでは自動車品質管理センターを設ける。
(2) 外部専門家からなる「blue-ribbon safety advisory group(最高レベルの安全諮問グループ)」を設置し、トヨタの業務に問題はないか第三者的に検討してもらう。検討結果とトヨタの対応は公表する。
(3) 消費者から直接寄せられる苦情にもっと積極対応する必要があると、十分承知している。品質と安全に関する重要情報をトヨタ・グループ内でより良く共有するために、必要な措置を導入している。グループ内の情報共有不足が、現状に寄与した問題だと認識している。アクセル・ペダルについては、欧州での問題と北米での問題について「failed to connect the dots(点と点をつなげ損ねた)」のが問題だった。 これがほかならぬワシントン・ポストへの寄稿だったというのが、とても興味深いです。トヨタに対してアメリカでは集団訴訟の動きもありますが、もっぱら懸念されるのは議会公聴会やオバマ政権の対応、つまりはワシントンの対応でしょう。それだけに、まずはワシントン・ポスト紙上で社長自ら訴えることにしたのかもしれません。特に下記の部分がトヨタとしては、ワシントン・ポストに寄稿するポイントだったのではないかと推測します。
「トヨタは、運転者や同乗者の安全を守る責任をもつ複数の政府機関との接触を高めて参ります。私はレイ・ラフード運輸長官とお話をさせていただき、安全当局や規制当局との連絡チャンネルを常に開いておくこと、関係当局とはもっと頻繁に情報交換すること、そして安全規制当局の要請に対応するためもっと注意深くあることを、私自らお約束いたしました」
そして豊田社長の寄稿は最後に、こう結んでいます。
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執筆者:加藤祐子 東京生まれ。シブがき隊と同い年。8歳からニューヨーク英語を話すも、「ビートルズ」と「モンティ・パイソン」の洗礼を受け、イギリス英語も体得。怪しい関西弁も少しできる。全国紙社会部と経済部、国際機関本部を経て、CNN日本語版サイト「CNN.co.jp」で 2000年と2004年米大統領選の日本語報道を担当。2006年2月よりgooニュース編集者。フィナンシャル・タイムズ翻訳も担当。英語屋のニュース屋。
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