哲学で、すべての事象は、必ずある原因によって起こり、原因なしには何ごとも起こらないという原理。物理学では、どの形式で事象を記述するかによって意味が異なる。古典物理学では、哲学と同じくすべての事象の原因と結果の間に一定の関係が存在し、原因は結果より時間的に必ず先行すると考え、ある時刻の系の状態が与えられれば、それ以後あるいは以前の系の状態が必然的かつ一意的に決定する。一方、量子力学においては、系の状態に因果性はあるが確率的に記述されるため、系の物理量の測定値を古典物理学のように確定的に予測することはできない。また、相対性理論においては、事象の時間的な前後関係が観測者によって異なる場合があるため、物体や場の変動(情報を伝える信号など)は光速度を超えて伝播しないという制限を課すことで因果律とする。→因果律の破れ
出典:青空文庫
・・・決定論の自由は意欲が因果律に従うことをこばむものである。しかし因果律・・・ 倉田百三「学生と教養」
・・・因果律といったようなものにしても、その考えは科学の歴史の上でもいろ・・・ 寺田寅彦「科学と文学」
・・・しかし因果律の解釈や、認識論学者の取扱うごとき問題は、余のここに云・・・ 寺田寅彦「自然現象の予報」