・・・万事御了察のうえ、御願い申しあげます。何事も申し上げる力がございません。委細は拝眉の日に。三月十九日。治拝。」 意外な事には、此の手紙のところどころに、先輩の朱筆の評が書き込まれていた。括弧の中が、その先輩の評である。 ――○○兄。・・・ 太宰治 「誰」
・・・どうか悪しからず御諒察を願います。 寺田寅彦 「書簡(2[#「2」はローマ数字2、1-13-22])」
・・・御良人の語られない不如意の大さも、諒察された。けれども、私たち女が、或るひとの妻として生きることと、そして、或る人が、一人の女の生涯を妻としてわが生涯に織りあわせて生きる互の結ばれの深さは、はじめから便利、不便利を超えたことと思われる。妻の・・・ 宮本百合子 「白藤」
出典:青空文庫