・・・文学の運動にしたがい、創作もして行こうとしている人々は、民主主義文化・文学運動の内をかき乱している不安、無規準、得たいのしれない政治性に影響されて、自分たちの活動の基準をどこにおいたら、たたかれないで育つことができるのかを思い迷うこころもち・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・ソヴェトでは大人もこうして育つのである。 ――ところで小学校の上級生ぐらいの子供は主にどんな本をよみますか? ――第一参考書類、技術的なもの、次は文学です。 ――現代の作家では誰が愛されます? ――さあ……。勿論グラトコフや・・・ 宮本百合子 「子供・子供・子供のモスクワ」
・・・来るでしょう、着物とか髪形とか云うものは随分その人の人柄を細く照返しているから、女の人が自身からそれを自覚し自分の表現としておしゃれを掌握するようになることが大切だし、その中に女の独創性というものも、育つでしょう。今の若い女の人は自分の心持・・・ 宮本百合子 「女性の生活態度」
・・・ ○緑の芽が出て育つもの。 一九二九年一月 アフガニスタンのアマヌラハン、前年の春、イギリス、フランス、ロシアなどを廻って人気者であった。イギリス 金を出して叛乱を起させた。アマヌラ今年に入ってカブールから逃げ出した。逃げる・・・ 宮本百合子 「一九二九年一月――二月」
・・・がある、そこで一月に一つずつの肉眼では見えない卵細胞が育つ。それが体の外へ排出されるとき月経が起り、「子宮」の内壁から出血するのです。 この時期は、婦人にとって大切な時です。足をピチャピチャにぬらして風邪を引いたりしないように! ひ・・・ 宮本百合子 「ソヴェト映画物語」
・・・そんな有様で、どうしてかよわい赤ん坊は丈夫に育つでしょう。 赤ん坊の死亡率はブルジョア時代のロシアでは実に高かった。工場で働く婦人たちが姙娠中養生をさせられなかったことと、ちゃんとした手当もうけられず出産しなければならなかったからです。・・・ 宮本百合子 「ソヴェト同盟の婦人と選挙」
・・・或る程度に子供が育つまで……若し子供の体に異状があったり、お母さんの体に異状があったりすると、健康相談所から病院へ報告してくれて、無料で病気を直してもらえる。ソヴェトの保健省は全国民を無料で医療させるということを目標にしている。農村の方の衛・・・ 宮本百合子 「ソヴェト・ロシアの素顔」
・・・丈夫に、賢い、よい労働者として育つように国家がいつも出来るだけの金を出して、注意している。だから、ミーチャが先行ってたような托児所、または幼稚園、遊び場は一つの市にいくつもある。それをモットモットふやして、もっと大勢の子供を愉快に暮させよう・・・ 宮本百合子 「楽しいソヴェトの子供」
・・・ 実際子供等は、鍋のものの煮えるのを待ちあぐんで居るらしかった。 こんなにも食べたく、こんなにも待ち遠がるほど三度三度の食事は、子供達の腹をみたすだけ十分でないのだろう。 育つ勢の盛なる子供達はたとえその度毎にあきあきするほど食・・・ 宮本百合子 「農村」
・・・しかし苦しむものは育つ。この一、二年間のヨーロッパには、日本人の容易に窺知し難い進歩があった。ヨーロッパが苦しみ疲れるのをあたかも自分の幸福であるがごとく感じている日本人は、やがて世界の大道のはるか後方に取り残された自分を発見するだろう。そ・・・ 和辻哲郎 「世界の変革と芸術」
出典:青空文庫