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この記事のライター
ライター名:花竿
年齢:40代
ライター情報:レジャータブロイド、ブライダルの情報誌を経て、現在はソーシャルゲームのシナリオに関するライティング業務をメインにしています。
ライター歴20年超、人生の半分を「文章を書く」執筆ワークで過ごしてきた筆者が、今話題の執筆アプリ「idraft(アイドラフト)」を試してみました。
一番初めのテキストワークは、「紙の原稿用紙に手書き」だった筆者。
20年を越えるライティングの経験で、たくさんのテキストエディタを使用してきました。
文を書くことを生業にし、執筆という作業に慣れているからこそ、使用するツールでストレスを感じることについては超敏感。
そんなプロならではの厳しいハードルを設定した上で、いざ執筆アプリ「idraft」のお試しレビューです!
執筆アプリが必要なワケ
ライターであれば、いつでも・どこでも文章を書かなくてはいけないケースが発生します。
そう、文章を書くだけならスマホに入っているテキストツールのどれでも可能な訳です。
でも、いざ使ってみると「コピペの選択がめんどくさい」「類義語をすぐに調べられない」「文字数カウントをその場でしてくれない」など、簡易ツールは簡易なぶん、使える機能が少ないのが常…
すぐにぱっと使えるテキストツールとしてのお手軽感はそのままに、ちゃんとライター使用に耐えるアプリはないの?
それを探していた筆者が見つけたのが、idraftでした。
idraftとは? 筆者がidraftにしたワケ
筆者が執筆アプリを選ぶにあたって重視したのは以下の4点です。
1.基本、無料である
2.拡張機能がある有料版へのアップグレードも可。その場合は無料お試し期間があること
3.PC、タブレット、スマホ、各環境下で同期して使える
4.辞書機能が充実している
こういった自分にとって譲れないポイントをいろいろとピックアップして、検索した結果、ヒットしたアプリがidraftでした。
辞書検索サービス「goo辞書」が作成したアプリ
日本では多くの人が聞いたことがあるであろうポータルサイト「goo」。
idraftは、「goo」による辞書サービス・goo辞書が作成した、校正や辞書の機能も備えたテキストエディタアプリとのこと。
サービスの運営会社が大手、というのは使う前から安心感を底上げしてくれる要素ですよね。
参照元:https://pr.goo.ne.jp/goo/2020/25842/
「基本無料」はマスト!
まずは使ってみて、自分になじむかどうか考えたい。
文章を書くのが仕事である筆者にとって、テキストエディタはほぼ毎日触るものなので、使用感を試せるお試し期間は絶対に欲しいところです。
自分になじまないツールなら、使うのをすぐにやめないと仕事に支障が出る。なので、手が出しやすい基本無料というのはすごくありがたい!
かつ、たとえ有料版でもっと便利な機能があったとしても、無料でお試し使用ができればベスト…そんなワガママなニーズに応えてくれること、それが第一のハードルでした。
端末間で相互に使える機能
さらに、これはもはや常識的な機能ですが、どの端末でも同じドキュメントを同期して使えること。
そして使用感が「スマホ→PC」「PC→スマホ」でさほど差がないこと。
この条件を満たしていないと、「今から取材だからこの文章を移動中に仕上げなきゃ…ああでもスマホ版だと文字数がわからない! 帰宅してから続きをする方がいいかな」など、大急ぎで作業を進めたいテキストワークで、困ってしまうケースも多いのです。
プロなら外せない「文字数」
また、ライターなら誰でもナーバスな「文字数」を今まさに、入力している最中に把握できる。
これ、実はライターにとってものすごく大事な機能です。
文章の仕事はたいてい、「この記事を何文字以上・何文字まで」と文字数が決まっています。
入力している最中に文字数がわかっていると、「あっ書きすぎた」「まだまだ足りない…」など、リアルタイムでペース調整が可能になります。
いわゆる「筆がノっている」時ほど手が滑って文字数が多くなりがちな筆者にとって、これは何よりも重要なポイントでした。
見つけた!idraftにしよう
idraftはPC、スマホの各OSバージョンが出ており、ちょっと検索するとすぐにApp StoreやGoogle Playでヒット。
この入手ルートまでの距離の近さも、「きちんとしたところが作ったアプリ感」をますますアップさせてくれます。
どの端末でも使えます
筆者はスマホはiPhoneを使用しているのですが、さっそくそのアプリを「スタンダードプラン」でダウンロード。
さらに、おうちワークが多い筆者にとって、PCでも使える便利な「プレミアムプラン」は魅力的です。
派手な機能ではないながら、同期できる端末が無制限というのが実はかなり嬉しい点。
ノートPCを持ち歩いてのノマドワークも多い筆者にとっては、ここも「おっ!高得点♪」なポイントでした。
月々たったの数百円
idraftの「プレミアムプラン」は初回1カ月が無料。
その後は有料サービスになりますが、たった月額180円(税込)~で、出先・自宅と使えるのであれば経費としては全然あり!
この良心的な価格設定も、筆者が惹かれた点です。
さらにidraftは累計45万ダウンロードを記録しており(2023年1月末時点)、すでに多くの利用者がいるという信頼感も、ダウンロードへの抵抗がない理由の1つでした。
いざ執筆!その使用感は
まずはApp Storeからダウンロードして、「スタンダードプラン」をスマホアプリで使用してみることにしました(Google playはこちら)。
これは、移動中や出先、思いついた時に作業するなどの即時性を検証したかったからです。
ライターは執筆記事の取材も兼ねることが多く、一日中外出なんて日常茶飯事です。
執筆においては必ずしも「机に座ってPCで」作業できる環境にいないことが多々あるため、スマホアプリの使い勝手は筆者にとって重要な要素でした。
入力フィールドは1つのシンプルさ!
idraftのスマホアプリ「スタンダードプラン」を使ってみてまず感動したのは、その圧倒的なシンプルさ。
「この機能を使うためにはまずこのフィールドにこのテキストを入力して…」といった面倒な作業の必要がないんです。
メインの入力フィールドは1つ、そこにダダダダーっと文章を入れていきます。
片手で持つことが多いスマホだからこそ、別の手で持ち替えてもう一方の手で範囲選択する…なんて作業は少ないほうがいい。
これ、小さいことかもしれませんが、長文を書いていく時の手の疲労が全然違うんですよ。
類義語を調べてみよう
言葉を生業にするライターとして、豊富な語彙を持つのは当然のこと。
ですが、すべてのジャンルの語句で類義語=言い換えがスラスラ出てくるライターなんてごくごく稀な存在でしょう。
どのライターにも当たり前に、得意分野、苦手ジャンルがあります。
よく知らないジャンルの原稿執筆で悪戦苦闘していると、どうしても同じ言い回しを使ってしまいがちになることも。
なので、どのライターにとってもおそらく類義語検索は、テキストワーク上で頻出する作業だといえます。
idraftなら、言い換え語句の検索も入力フィールドにある「言い換え」ボタンを押すだけ。
びっくりしたのは、テキストの範囲指定すら必要ないこと。
通常のテキストエディタなら、「どの言葉を言い換えたいか」の範囲選択は絶対させられますよね。
idraftでは、現在入力している文章中における語句の言い換えが、画像のように列記で表示されます。
言い換えを検討していなかった語句も合わせて変更候補が出るので、「こっちの言葉の方がいいかも」と文章をよりブラッシュアップでき、書き手の労力がひと手間もふた手間も省けます。
さらに、idraft「プレミアムプラン」なら、ベースとなる言葉からイメージされる語句が連綿と提案される「ことば選び辞典」機能も備わっています。
キャッチコピーの作成など、匂わせ感のある言葉を探す時にも、ライターの強い味方になってくれます。
用例・用法を辞書で引く
また特筆すべきなのがこのアプリの「そのまま感」。
先ほどの言い換え検索語句の左側に、開いた本のマークがありましたよね。
それをクリックすると、なんとそのまま辞書が引けます。
この言葉を言い換えたい→この変更候補の言葉の用例は→うん、間違えていないから変えておこう…この一連の作業のシームレス感!
これはぜひ、一度実際に使って試してみていただきたい感動ポイントです。
「辞書」ボタンからは、まだ入力テキスト中にない語句を調べることもでき、さすがgoo辞書作成アプリといったところ。
しかも、この辞書機能はいわゆる日本語の辞書「国語」のみならず、漢字・類語・英和・和英・四字熟語までカバー。
英語に明るくないからいちいちWebブラウザを立ち上げて検索する…という二次作業がぐっと減りますよ。
さてここまでの文字数は?
これまでは、こうやって実際に記事を書いていくと「今は何文字くらいまでいったかな?」と毎回確認する必要がありました。
しかもエディタアプリによって文字数カウント機能のアイコンやショートカットキーがまちまち。
お決まりの範囲選択も必要で、その面倒さにカウントを後回しにしてしまう、なんてことも。
でもidraftのアプリなら一目瞭然。ボタンを押す必要すらありません。一番上に、リアルタイムの文字数が表示されているからです。
ライターあるあるなのですが、長く書いてしまった文章を削る方が実は大変だったりします。
書き終わった後に規定文字数を大幅オーバーしていたから、まるごとひと段落削る…そんな悲しい思いも、idraftライターならもうしなくていいんです。
なんと校正支援まで
実は校閲・校正の仕事をしていたこともある筆者。
そのため慢心がそうさせるのか、完成原稿を見直すと誤字脱字や表記ゆれがチラホラ…
他者の原稿チェックをしていたことがある分、自分の原稿は「たぶん書けているでしょ」と思い込んでしまうようで、情けないことに納品前に大慌てで手直しすることもしばしばありました。
idraftには「校正」機能として、ら抜き言葉などの間違えやすい誤字脱字、表記ゆれ、書式のチェッカーが備わっています。
そして個人的に嬉しかったのはこの「ダークモード対応」!(主要画面・対応はiOS13以降)
照明を落として目に優しい作業を目指している筆者にとって、これは地味ながら好印象でした。
細かいけどこれ便利!
これまで述べてきた点以外にも、「これ地味に便利だわ〜」と感動してしまったのが、ワンタップで――、・、()、「」が入力できるクイックキーボード機能です。
ライターならば通常、いつも使っている端末のユーザー辞書に、よく使う・入力が手間な単語や記号は登録しているもの。
筆者も「・」は「なかぐろ」と登録していますが、「なかぐろ」と打つよりも圧倒的に早く入力できます。
商品概要や説明記事など、ある特定の文種ではこの「・」が頻出することもあるので、楽になった実感がわかりやすかったです。
【そのほかの便利な機能はコチラ】
- フォルダーの作成、並べ替え機能
- 下書きの自動保存、手動保存、文字数カウント、並び替え機能
- 文字サイズ・フォント変更機能
- Undo、Redo機能
- 下書きの本文コピー、移動、削除、文字検索
- オフラインでの文章作成、編集
- 横画面対応
- SNS共有(Twitter、Facebook、Evernoteなど)
これからに期待したい点も
このように便利なidraftですが、ライターとしては「ここをもう少しレベルアップして欲しい」点もありました。
それは、「校正」機能の誤用検出がやや足りていないところです。
例として有名な「否が応でも」「いやが上にも」を混同してみます。
やはり、ら抜き言葉など、検出できる誤用が限られているためヒットしませんでした。
もう1つ、今では誤用とも言い切れなくなってきた「的を得る」については、「校正」機能の誤字脱字チェッカーできちんとヒットしました。
本マークをタップすると辞書データから誤用および一般化についての記載を読むことができます。
このように、「元の用例からは外れているものの、現代においては一般的に使われつつある語句」については、使用状況などの事情をふまえつつ「一概に間違いとはいえない」という判断を書き手に委ねてくれる柔軟な一面も。
これは、現代のWeb辞書の第一人者たるgoo辞書の、面目躍如といったところでしょう。
今は文章もネットで即時公開、即リアクションがくる時代です。
記事を見た人から指摘されやすい誤用・混同してしまいがちな言葉がある程度決まっているので、それは網羅して欲しいかなと思います。
ただ、校正結果には「!」マークから開くフィードバックフォームがあり、ユーザー全員から意見を募ってバージョンアップを図っている点は、筆者には好感が持てました。
まとめ idraft総評
idraftを使ってみた全体としてのレビューは「大満足!」な結果だったといえます。
さらに初回1カ月無料の「プレミアムプラン」もお試ししてみましたが、プレミアムプラン下でのスマホアプリにおいては、「検索と置換」が一度使うと手放せなくなる便利さ!
表記ゆれで「ウィークデイ」と「ウィークデー」を見つける→一括で「ウィークデイ」を「ウィークデー」に変換、これで1つひとつ目視で潰していた表記統一が瞬時に完了するのです。
また、PC版はやはり広い画面での作業が抜群にやりやすく、かつ画面カスタマイズや提案類語の豊富さなど、この内容で月ワンコイン以下なのはじゅうぶん満足のいくレベル。
PC作業中は、他のテキストエディタと比べて、マウスの使用頻度の低さに驚くこと請け合いですよ!
idraft、「文章を書いて生活している」ベテランライターである筆者だからこそ、執筆作業をする人にぜひ一度は試してみて欲しいアプリだと、強くオススメします。