全身に張り巡らされた骨格筋
筋肉は収縮運動を行うとき、細胞内のブドウ糖やグリコーゲンを分解・燃焼させて、運動のためのエネルギーを発生させます。 ところが、運動などで急激に筋肉を使うと、細胞内の酸素が不足して糖の分解が上手くいかず、乳酸がたまります。すると筋肉の収縮がスムーズでなくなり、痛みを伴うようになります。これが"筋肉疲労"です。 また、運動をしなくても、長時間同じ姿勢で作業をしていることで、血液がいきわたらなくなって筋肉疲労が生じ、肩こり、腰痛などを引き起こします。
全身の筋肉のしくみ
筋肉は、からだや臓器を動かす原動力となる運動器官です。 筋細胞(筋線維)という収縮性のある細胞の集合体である筋肉は、骨格に付着してからだを動かす骨格筋、血管や内臓の器官を動かす平滑筋、心臓を動かす心筋と大きく3種類に分けられます。 また、骨格筋だけでも600種以上あり、それぞれに名前がつけられています。付着する骨の部位によって大きさや形もさまざまです。
全身の「骨格」のしくみ
骨格は、各臓器を外部の衝撃から守る役割があり、保護する臓器によって骨の大きさや形、しくみも異なります。 からだの司令塔である脳を守る頭蓋骨は、"縫合"と呼ばれる複雑なつながり方で固く連結されています。 一方、心臓と肺を保護しているのは胸郭です。胸郭は胸椎(背骨の一部)、胸骨と12対の肋骨によってカゴ状に形成されており、各々の骨は関節や軟骨でつながっています。 また、からだの支柱である脊柱(背骨)は、リング状の椎骨が軟骨や靱帯でつながり、脊髄を囲み保護するとともに姿勢を保ちます。 生殖器や消化器、泌尿器を保護する骨盤は、腸骨、恥骨、坐骨からなる寛骨を中心に、腹部全体を下方から支え、体重を下肢へ伝えます。 付着する筋肉のはたらきにより、運動の支点となることも、骨格の重要な働きのひとつです。 新生児では約350個ある骨は、からだの成長とともに融合しながら、より太く強い骨へと変化していきます。そのため、成人では、約200~208個で基本的には206個の骨が骨格を形成します。 成人に比べ、乳幼児のからだが柔軟なのは、すべての骨が融合する前の、発育途中にあるためです。
全身の神経網
判断や思考などの知的な活動や、呼吸など体内で営まれる生命活動、あるいは歩く、走るといった運動は、人体の情報処理システム「神経系」によってコントロールされています。 この情報処理システムは、脳・脊髄からなる中枢神経と、中枢神経とからだの各部を結ぶ情報連絡路である末梢神経によって支えられています。 末梢神経が集めた情報は、すべて電気信号化されて神経細胞間で伝達されます。そして、最終的に中枢神経に届けられると、その信号を中枢神経が処理し、脳からの伝達信号にして末梢神経に送るシステムになっています。 末梢神経には、脳からでている脳神経、脊髄からでている脊髄神経があります。また、伝達する情報の種類により、体性神経と自律神経の2種類に分類されます。 体性神経には、感覚神経、運動神経の2種類があります。感覚神経は、視覚、聴覚、触覚、味覚などの情報を信号にして中枢神経(脳)に伝達し、運動神経は、脳から出る指令(運動命令)を、運動をする部位の筋に伝達します。 自律神経には、交感神経、副交感神経の2種類の神経があります。からだや環境の状況に応じて、脳からの調整を受けながら呼吸、心拍、体温、血圧、発汗、消化吸収、尿の生成など生命を維持するための機能をコントロールしています。
全長10m―消化と吸収のシステム
口から食道、胃、十二指腸、小腸、大腸、肛門まで、全長およそ10mの1本の管が、食べ物の道筋となる消化管です。 食道から胃までを上部消化管といい、小腸から下の部分を下部消化管といいます。 口から入った食べ物は、上部消化管の食道から胃に運ばれて、胃液で1~3時間ほどかけて消化されます。 さらに、胃から十二指腸(小腸)に送られてきた食べ物は、下部消化管で必要な栄養素が吸収され、最後には直腸・肛門から排泄されます。