出典:青空文庫
・・・を読んで、次にジョイスの「ユリシーズ」を読み、僕は更に新しい文学の行き方が判り、僕らの野心とは僕らの「ファビアン」を作ることであり僕らの「ユリシーズ」を作ることにあると納得した。 日本の習慣では、土足のままで家の中へはいらない。だから、・・・ 織田作之助 「土足のままの文学」
・・・が、著者の如き分析力によってふわけされた上、昔は普通のスタイルで書いたジェームス・ジョイスが、なぜ欧州大戦後、人間意識の流れをこういう風に扱い出したか、その点を心理学的に究明することは、意味ないことであろうか。著者は、谷崎潤一郎が初期には具・・・ 宮本百合子 「芸術が必要とする科学」
・・・伊藤整のように、ジェームズ・ジョイスの文学を深く理解した作家が、より若い世代のヨーロッパ文学の手法追随に対してむしろ警告的であるのも注目される。日本では、一九三三年以後の社会と文学の形相があまり非理性的で殺伐であったために、その時期に青年期・・・ 宮本百合子 「五〇年代の文学とそこにある問題」
・・・やぶられつつやぶられない というような有様 ショウ ロレンス ジョイス ○英国人の誇恃の種類 スペインに行ってもイギリス人たる誇の自覚から自由になれず アメリカ人のように自在に動けず、文学も新しい輸血・・・ 宮本百合子 「ツワイク「三人の巨匠」」
・・・ジェームス・ジョイスやD・H・ローレンスから多くのものを摂取して来た一人の日本の文学者として、以上の言葉は、その人の真実を告げている。しかし、これらの表現は「この時代に生きる作家の運命」のすべての面にふれているだろうか。 文学のために―・・・ 宮本百合子 「人間性・政治・文学(1)」