たて‐もの【立者】
1 一座の中ですぐれた役者、また人気役者。立役者。 2 仲間の中でおもだった者。あたまかぶ。「不良少年の黒表(ブラツクリスト)中の—だけに」〈里見弴・多情仏心〉
ため‐すじ【為筋】
利益になる事柄。利益になる客筋。おためすじ。「其が又所帯の方から謂えば、—にもなる所だから」〈紅葉・多情多恨〉
たら・う【足らう】
[動ワ五(ハ四)] 1 資格や力量などが十分に備わっている。「それほど自分は—・わぬものであろうか」〈紅葉・多情多恨〉 2 十分である。満足である。「—・ワヌコトナシ」〈和英語林集成〉 「—・は...
たれ‐こ・める【垂れ込める/垂れ籠める】
[動マ下一][文]たれこ・む[マ下二] 1 雲などが低く垂れてあたりを覆う。「雨雲が—・める」 2 とばりやすだれなどを下ろして閉じこもる。家の中に閉じこもって外へ出ない。「二人は、奥二階の八畳...
ち【痴/癡】
1 愚かなこと。また、その人。「聖既に多情、—固より多情」〈織田訳・花柳春話〉 2 三毒の一。無明(むみょう)であること。
ちら‐め・く
[動カ五(四)]「ちらつく」に同じ。「—・く裸灯(はだかび)に頻りと瞬きばかりしていた」〈里見弴・多情仏心〉
ちん‐からり
[副] 1 金属製の物などが打ち合って鳴る音を表す語。「その中で何を落したのか、—」〈紅葉・多情多恨〉 2 物が何もないさま。「また引き出しても—」〈浄・天の網島〉
ちん‐ちん【沈沈】
[ト・タル][文][形動タリ]静まりかえっているさま。特に、夜がふけてひっそりとしているさま。「大都市の夜は、いま—として更け亙(わた)った」〈里見弴・多情仏心〉
つい‐つい
[副]「ついと」の「つい」を重ねた語。「長い霜柱の—と立っているのが」〈紅葉・多情多恨〉
つき‐は【付(き)端】
いくらか関連のあるところ。「お種は—も無い事を言出した」〈紅葉・多情多恨〉