あめ【天】
1 地(つち)に対して、空。「み園生(そのふ)の百木の梅の散る花し—に飛び上がり雪と降りけむ」〈万・三九〇六〉 2 天にあって神や天人の住む所。天上界。「かばかり守る所に—の人にも負けむや」〈竹取〉
あめ‐が‐した【天が下】
「あめのした1」に同じ。「春の日は限り無き—を照らして」〈漱石・草枕〉 「—には隠れがもなし」〈太平記・三〉
あめ‐しら◦す【天知らす】
[連語]《「す」は上代の尊敬の助動詞》天にのぼられて、お治めになる。貴人の死をいう。「ひさかたの—◦しぬる君ゆゑに日月も知らず恋ひわたるかも」〈万・二〇〇〉
あめ‐つち【天地】
1 天と地。全世界。てんち。「—は広しといへど、我(あ)がためは狭(さ)くやなりぬる」〈万・八九二〉 2 天地の神々。「いざ子ども狂(たは)わざなせそ—の堅めし国そ大和島根は」〈万・四四八七〉
あめつち‐の‐ことば【天地の詞】
平安初期の、手習いの教材。仮名48文字を重複しないように使って作ったもの。「あめ(天)つち(地)ほし(星)そら(空)やま(山)かは(川)みね(峰)たに(谷)くも(雲)きり(霧)むろ(室)こけ(苔...
あめつち‐の‐ふくろ【天地の袋】
女子が、新年に幸福を多く取り入れるようにと上下を縫い合わせて作る祝いの袋。春袋(はるぶくろ)。天地(てんち)袋。「—の数し多かれば」〈一条大納言家歌合〉
あめ‐の【天の】
[連語] 1 天(てん)の。 2 高天原(たかまがはら)の。 3 神聖な。→天(あま)の
あめ‐の‐した【天の下】
1 《空の下、高天原の下の意から》天下。日本全国。あめがした。「—すでに覆ひて降る雪の光を見れば貴くもあるか」〈万・三九二三〉 2 (「天の下の」の形で)非常な。とんでもない。「—の空言(そらご...
あめ‐の‐ひ【天の火】
天から降る神秘的な火。「君が行く道の長手を繰り畳ね焼きほろぼさむ—もがも」〈万・三七二四〉
あめ‐の‐みかど【天の御門】
朝廷。皇居。また、天皇。皇室。「恐(かしこ)きや—をかけつれば音のみし泣かゆ朝夕にして」〈万・四四八〇〉