ゆくとり‐の【行く鳥の】
[枕]飛ぶ鳥が先を争うようにの意で「争ふ」に、また、群れをなして飛び立つところから「群がる」にかかる。「露霜の消なば消ぬべく—争ふはしに」〈万・一九九〉 「舎人(とねり)の子らは—群がりて待ち」...
ゆくはる【ゆく春】
薄田泣菫の詩集。明治34年(1901)刊行。
ゆく‐はる【行く春】
過ぎ去っていこうとする春。暮れていく春。晩春。《季 春》「—や鳥啼き魚の目は泪(なみだ)/芭蕉」 [補説]書名別項。→ゆく春
ゆく‐ひと【行く人】
道を行く人。旅人。「門を出れば我も—秋の暮」〈蕪村句集〉
ゆくふね‐の【行く船の】
[枕]船が過ぎて行く意で、「過ぐ」にかかる。「—過ぎて来(く)べしや言(こと)も告げなむ」〈万・一九九八〉
ゆく‐みず【行く水】
流れていく水。流水。「—に数かくよりもはかなきは思はぬ人を思ふなりけり」〈古今・恋一〉
ゆくみず‐の【行く水の】
[枕]水の流れ去るさまから、「過ぐ」「とどめかぬ」にかかる。「—過ぎにし妹(いも)が形見とそ来(こ)し」〈万・一七九七〉 「玉藻なすなびきこい伏し—留(とど)めかねつと」〈万・四二一四〉
ゆくもかえるも‐の‐せき【行くも帰るもの関】
《後撰集の「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂(おうさか)の関」から》近江国の逢坂の関の異称。
往(ゆ)く者(もの)は追(お)わず来(く)る者(もの)は拒(こば)まず
《「孟子」尽心下から》立ち去る者はあえて引きとめず、道を求めてくる者は、だれでも受け入れる。去る者は追わず、来(きた)る者は拒まず。
ゆく‐ゆく【行く行く】
[副] 1 行く末。やがて。将来。「—は家業を継ぐことになる」 2 歩きながら。道すがら。「何を買おうかと—考えていた」