な‐せ【汝兄】
《上代語。本来「な」は一人称》女性が男性を親しんでよぶ語。あなた。いろせ。いろね。せ。「—の子やとりのをかぢし中だをれ我(あ)を音(ね)し泣くよ息(いく)づくまでに」〈万・三四五八〉
な‐どり【汝鳥】
あなたの鳥。あなたの意に従う鳥。「今こそは我鳥(わどり)にあらめ後は—にあらむを」〈記・上・歌謡〉
なにも【汝妹】
《「なのいも」の音変化。本来「な」は一人称》男が女を親しんで呼ぶ語。あなた。「愛(うつく)しき我(あ)が—の命(みこと)」〈記・上〉
な‐ね【汝ね】
《本来「な」は一人称。「ね」は敬愛の意を表す》親愛の気持ちを込めて相手を呼ぶ語。「朝髪の思ひ乱れてかくばかり—が恋ふれそ夢(いめ)に見えける」〈万・七二四〉
な‐びと【汝人】
[代]《「なひと」とも》二人称の人代名詞。おまえ。「能(よ)く園を作るや—」〈允恭紀〉
な‐むち【汝】
[代]《代名詞「な」+「むち(貴)」から》「なんじ」に同じ。「ああ、—軽の皇子(みこ)」〈孝徳紀〉
なれ【汝】
[代]二人称の人代名詞。おまえ。なんじ。「親なしに—生(な)りけめや」〈推古紀・歌謡〉
な‐んじ【汝/爾】
[代]《「なむち」の音変化》二人称の人代名詞。多く、対等またはそれ以下の人に用いられる。「—コレヲワキマエタカ」〈天草本伊曽保・イソポが生涯〉
汝(なんじ)の敵(てき)を愛(あい)せよ
《Love your enemies.》悪意を抱いて迫害する者に対して、慈愛をもって接せよ。新約聖書「マタイによる福音書」第5章、「ルカによる福音書」第6章にある言葉。
汝(なんじ)自(みずか)らを知(し)れ
自分の無知を自覚し、自分の心を高めるように励め。ソクラテスの行動上の標語で、アポロの神殿に掲げられていたという。