そぞろ‐えみ【漫ろ笑み】
なんとなくほほえむこと。また、そのほほえみ。「—を洩せる顔色は」〈紅葉・金色夜叉〉
そぞろ‐がま・し【漫ろがまし】
[形シク]いかにも落ち着かない。すずろがまし。「山里の外面(そとも)の岡の高き木に—・しき秋蝉(あきぜみ)の声」〈山家集・上〉
そぞろ‐がみ【漫ろ神】
人の心に取りついてなんとなく誘惑する神。すずろがみ。「—の、物につきて心を狂はせ」〈奥の細道〉
そぞろ・く【漫ろく】
[動カ四]心に落ち着きがなくなる。そわそわする。すずろく。「兵杖(ひゃうぢゃう)を帯したる者どもも皆—・いてぞ見えける」〈平家・二〉
そぞろ‐ごころ【漫ろ心】
そわそわと落ち着かない心。浮ついた心。すずろごころ。
そぞろ‐ごと【漫ろ事】
とりとめもないこと。とるに足りないこと。すずろごと。「ある御所さまの古き女房の、—言はれしついでに」〈徒然・二三八〉
そぞろ‐ごと【漫ろ言】
とりとめのない言葉。つまらない言葉。すずろごと。「其の目を空しく見据えつつ—のように言出でたり」〈紅葉・金色夜叉〉
そぞろ‐さむ・し【漫ろ寒し】
[形ク] 1 なんとなく寒々としている。「雪やや散りて—・きに」〈源・初音〉 2 寒気をおぼえる。「入綾(いりあや)のほど、—・く、この世の事とも覚えず」〈源・紅葉賀〉
そぞろ‐わ・し【漫ろはし】
[形シク]心が落ち着かない。すずろわし。「いとど及びなき心地し給ふに、—・しきまでなむ」〈青表紙証本源・紅葉賀〉